インバウンド関連予算、東北5県がトップ10入り
2017年12月17日 19:34
2016年3月、政府は、「観光先進国」への新たな国づくりに向けて、「構想会議」を設置し、「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、これを公表した。この「ビジョン」を受けて、既に全国で官民一体となった取り組みが行われている。
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この「ビジョン」の中で「東北の観光復興」が唱えられ、「東北観光の拠点として、仙台市及び仙台空港を含む周辺エリアを”復興観光拠点都市圏”とし、重点的な支援を実施」など8項目の具体的な取り組みが掲げられている。
今月7日、インバウンド(訪日客誘致)情報に関するWEBサイトを運営する株式会社やまとごころは、官公庁、自治体、観光協会など全国1000以上の関連機関が17年度上半期に行った入札の公示情報(提案上限予算額)を元に全国47都道府県のインバウンド関連予算を推計し、その結果を公表した。
集計結果によれば、予算額において東北5県がトップ10以内にランキングされている。予算額でのランキングをみると、トップは東京都で11億円程度、2位が沖縄と続き10億円を超えており、3位が北海道(5.5億程度)で、以下、山形県、秋田県、福島県、兵庫県、京都府、宮城県、岩手県という順で、山形県(3.5億円超)、秋田県(3億円超)、福島県(2.5億円超)、宮城県(2億円超)、岩手県(2億円近く)の5県が東北地域に属する。
施策の件数のランキングでは、トップは東京都の87案件、次いで北海道の62案件と続き、3位が沖縄県で59案件、以下、山形県(36)、千葉県(26)、岩手県、秋田県、福島県(同位25)、京都府、兵庫県(同位23)の順となっており、山形、岩手、秋田、福島の4県が東北地域に属する。
訪日客のインバウンドに関する実績を観光庁が公表した直近データ「都道府県別延べ宿泊者数(平成29年9月(第2次速報))」を参考に見てみると、東北地域の「延べ宿泊者数」は、青森県が43.5万人、岩手県が52.7万人、宮城県74.3万人、秋田県31.8万人、山形県44.8万人、福島県89.2万人となっており、47都道府県の平均は87.1万人で福島県を除いて平均を下回っており、東京都(461.3万人)、北海道(324.1万人)、沖縄県(190.3万人)、京都府(146.1万人)など代表的な訪日観光地と比べても、重点地域として十分な実績が出ているとは言いがたい。政府、地元など官民一体となった今後の努力に期待する。(編集担当:久保田雄城)