科学技術の発展で高まるIT犯罪への不安 内閣府が世論調査
2017年12月11日 09:23
科学技術が人類や国家にもたらす恩恵は計り知れないものがあるが、国民はどのような意識を持っているのか。内閣府は今年11月、学技術と社会に関する国民の意識を把握し今後の施策の参考とする為「科学技術と社会に関する世論調査」を行った。日本国籍を有する18歳以上の者を対象に、有効回収数1,765人(回収率 58.8%)、 調査員による個別面接聴取にて行われた。
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まず、科学技術に対する関心については、「関心がある」とする者の割合が60.7%、「関心がない」とする者の割合が38.4%となり、主な情報入手経路は「テレビ」を挙げた者の割合が83.2%と最も高く、以下、「新聞」(40.5%)、「インターネット」(37.2%)と続いた。大多数の人は興味が無いわけではないが、テレビなど受動的な情報現が主となっているようだ。
次に、科学技術に対する意識について聞いた。「「現在」の日本の科学技術は、諸外国に比べ進んでいるか」という質問については、「そう思う」とする者の割合が72.6%、「そう思わない」とする者の割合が22.2%となった。一方、「資源・エネルギー問題、環境問題、水、食糧問題、感染症問題などの社会の新たな問題は、さらなる科学技術の発展によって解決されるか」では、「そう思う」とする者の割合が73.7%「そう思わない」とする者の割合が20.7%となり、科学技術がもたらした恩恵と弊害は相殺されるのでは、といった漠然とした期待感が感じられた。
科学技術に対する期待がある一方で、不安の声も挙がった。最も多かったのが「サイバーテロ、不正アクセスなどのIT犯罪」(61.0%)以下、「地球温暖化や自然環境破壊などの地球環境問題」(52.2%)、「遺伝子組換え食品、原子力発電などの安全性」(49.5%)、「クローン人間を生み出すこと、兵器への利用などに関する倫理的な問題」(43.7%)と続く。インターネットがもはや当たり前の時代となったが、電子空間でのやりとりが個人の生活に及ぼす影響は日増しに高まり続けている。個人情報など身の危険に直接関わるような重要事項の取扱いや管理をネットが担う場面も増えているなか、企業などによる情報漏洩のニュースなどが頻発している。
警察庁が公開した、2017年上半期サイバー犯罪相談件数は6万9,977件となり過去最大となった。詐欺や悪質商法による相談が最も多く、次いで不正アクセスやウイルスに関する相談、迷惑メールに関する相談と続く。インターネットバンキングに係る不正送金、仮想通貨を巡る不正アクセスのトラブルが特に顕著であり、セキュリティ維持の必要性が叫ばれている。政府は、2020年のオリンピックに向けたサイバー攻撃対策として、官民連携の推進、サイバー人材の育成や国際連携を含めた「警察におけるサイバーセキュリティ戦略」を推進していく予定だ。
科学技術の発展には、プラス面とマイナス面があると言われているが、全体的に見た場合、「プラス面が多い」とする者の割合が52.5%、「両方同じくらいである」と答えた者の割合が35.7%、「マイナス面が多い」とする者の割合が6.9%となっている。原発事故のように現実的に起こりうる「想定外」もあることを、我々は頭の片隅に置いておくべきかもしれない。 (編集担当:久保田雄城)