良質な中古住宅に“認定マーク”、「安心R住宅」制度始まる

2017年11月28日 11:47

 国土交通省の既存住宅の流通を活性化させる政策、特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度「安心R住宅」の具体的な内容が分かった。一般消費者が中古住宅を購入する際に、物件に対する不安を払拭するための政策だ。いわゆる「不安」「汚い」「わからない」といった従来の「中古住宅」のマイナスイメージを払拭するための具体策である。

 安心R住宅制度とは、国が一定の基準を設け、その基準を満たした中古住宅に対して“標章”(指定のロゴマーク)を付けて販売することを許可許認する制度だ。“標章”の発行は、国交省に申請し登録が認められた団体が行なう。

 国は登録規程、標章の使用に関する規約、登録制度についてのガイドラインを11月6日に告示。12月1日から団体登録を受け付け、2018年4月から“標章”使用を開始する。

 安心R住宅制度は、消費者が既存住宅を「住みたい」「買いたい」と思えるよう、耐震性などの品質を備え、消費者ニーズに沿ったリフォームの実施について適切な情報提供が行なわれる既存住宅に対し、国の関与のもとで標章付与を行なう制度。

 その条件は、新耐震基準同等の耐震性を持つこと、建物状況調査を実施し、既存住宅売買瑕疵保険を付保できる用意されていること。加えて、国交省に登録された事業者団体が定める設備機器に交換されているか、内外装基準への適合を図るための費用情報を含めたリフォーム提案書があること。外装・内装・水回りなどの写真が閲覧できること。広告掲出時に点検記録などの保管状況と詳細情報(安心R住宅調査報告書)の開示が実施できることとなる。

 国交省は標章を使用できる事業者団体を審査・登録。事業者団体は、リフォーム基準や標章使用について事業者が遵守すべきルールを設定し、傘下事業者の指導監督を行なう。事業者は、要件に合致した住宅について、団体の基準・ルールに沿って広告掲出・販売時に標章を使える。事業者登録は3年更新。

 また、標章については、名刺への印刷など物件情報の提供以外の利用は認めない。「国土交通省認定」など国が構成員と協同または応援しているような広告表記も認めないという。

 この制度のユニークなところは、中古住宅の「見た目の重視」だ。汚い内外装を払拭するためのリフォームの実施を推奨し、リフォームされていない場合には「改修プラン」を書面で提示し、そのための予算などを記載した提案書を用意しなければならない。

 なお、「何処をどのように改修するか」については、各登録事業者が独自に基準やオプションを設定できる。このため、事業者ごとの個性やバリエーションが生まれ、中古住宅選びが大きく活性化すると期待されているのだ。各事業者の住宅改修基準は、専用サイトで公開される予定だ。

 安心R住宅制度がどこまで普及するか、そして中古住宅がいかに正当に評価されるか、4月以降の業界の取り組みにかかっているといえそうだ。(編集担当:吉田恒)

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