臓器提供、「可能」と意思表明は1割にとどまる 内閣府調査
2017年11月28日 20:35
1997年の臓器移植法施行から20年が経過する。この20年の間に臓器移植に関する技術は格段に進歩し、治療が困難な病気でも対応ができるようになった。それを受けて内閣府では、臓器移植に関する意識に対する世論調査を行ったが、その結果臓器提供意思表示カードなどで「臓器提供可」と表明しているケースは全体の1割程度に留まっていることがわかった。この調査では全国の18歳以上を対象としており、調査人数は3,000人、そのうち半数以上の1,911人から回答があった。
【こちらも】世界で初めてヒト頭部移植に「成功」 中国で手術=伊中医療チーム
世論調査の結果およそ9割が臓器提供の意思表示をしていないということについて、その理由によると最も多いのが「自分の意思が決まっていない」というもの。それに続くのが「抵抗感がある」「無関心」というものだった。臓器提供の意思表示は、臓器提供意思表示カードの他に運転免許証に記載することで行われる。今回の調査では、意思表示をするかどうかの判断に迷っているという人が相当な数存在するということがわかる。
では臓器提供そのものはどのような認識なのか、ということだが、この世論調査では4割の人が「提供したい」と前向きに検討していることもわかった。カードなどで敢えて意思表示をするかどうかはともかく、臓器提供をするかどうかという選択だけで考えれば多くの人がその意思を持っているということになる。臓器提供の意思表示における世論調査は2013年にも行われており、その時の結果と比較した場合でも明確な意思表示をするかどうかは今回とそれほど大きな違いはない。それでも4割ほどの人が臓器提供に前向きな気持ちを持っているという点は興味深い部分ではないだろうか。
2010年に改正された臓器移植法では、臓器提供意思表示カードなどのように本人の明確な意思表示がなかったとしても、家族の承諾によって臓器提供ができるようになった。こうした背景も相まって、臓器提供に関する意識は以前に比べると高まっていると考えることができる。臓器提供は誰もが考えていくべきテーマであるといえるだろう。医療技術の進歩とともに法律の改正などといった整備も進んでおり、今後はもっと身近なケースとなっていくかもしれない。運転免許の更新などで触れる機会も増える臓器提供について、もしも、自分がその立場になった際にはどうするべきか、一人ひとりがじっくりと考えてみたいところである。(編集担当:久保田雄城)