子どものウイルス・菌対策、保育士の88%が園での除菌対策は難しいと回答
2017年11月28日 22:37
朝晩の冷え込みが日増しに厳しくなる今日この頃。今年もウイルス・菌が気になる季節がやってきた。そこで、エーザイが現役保育士100名と現在保育園・幼稚園に子どもを通わせている母親300名を対象に、子どもの「ウイルス・菌対策」に関する意識・実態調査を行った。
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ウイルスや菌のついた手指で口や鼻を触り粘膜から感染する接触感染=“手うつり菌”は、大きな感染経路の一つだ。まずはじめに、保育士に園児に行わせている、または、園で実施している冬場のウイルス・菌対策を質問。すると、95%が何らかの対策を行っていると回答。その内訳は、第1位「外出後、手洗いを徹底させる」(81%)、第2位「室内に加湿器を設置する」(60%)、第3位「外出後、うがいを徹底させる」(49%)という結果だった。
保育園などでは何らかの対策を行っている。だがしかし園児相手にウイルス・菌対策を徹底させることは容易ではないようだ。たとえば、園児が手洗いやうがいをせずに室内に入ってしまったり、くしゃみをしているのにマスクを外してしまったりするなど、保育士の88%が冬場に園児のウイルス・菌対策が完璧には実行できていないと実感している。
続けて保育士に、園内で共用の遊具や設備などに1人の園児が1日に触れる回数は何回程度なのか聞いた。その結果、共用の遊具は「5回以上」と回答した保育士は9割近く(86%)いた。「教室の壁や扉、ドアノブ」も「5回以上」が 約8割(79%)という結果となった。
園児の母親たちにも質問。「家庭での子どものウイルス・菌対策意識」について尋ねた。まず、「保育園・幼稚園で他の子どもから菌をもらわないか」不安に感じている母親は90%だった。多くの母親が、保育園や幼稚園で「他の子どもから菌をもらうこと」を心配していた。一方、「自分の子どもが他の子どもへ菌を移してしまうこと」を不安に感じる母親も約9割(86%)。菌をもらわないか、移さないか、園児たちの母親は心配しているようだ。
母親たちに、冬場に保育園・幼稚園で行っているウイルス・菌対策を100点満点で評価してもらったところ、評価の点数は「63点」となった。若干、評価が低いがその理由を聞くと、「子どもが自分自身で気をつけようとしても限度があると思うから」(28歳・子どものウイルス・菌対策意識評価:30点)、「何か触れたら手を洗うということも限界があると思う」(36歳・子どものウイルス・菌対策意識評価:50点)など、子どもが自分で行う対策だけではなく、触れてしまったウイルス・菌を家庭内に持ち込ませないための根本的な対策が望まれていることがわかる。
今回の調査では、保育園・幼稚園に通う子どもがなかなかウイルス・菌対策を徹底できないこと、さらにウイルス・菌の付着が気になる園内の共用の遊具や設備に複数回触っていることがわかった。子供が高熱やせき・くしゃみで苦しむ姿は親も保育士も誰もが見たくないはずだ。園での対策には限界があることを理解し、家庭をはじめ日ごろからの対策を徹底することも重要になるだろう。(記事:久保圭大郎・記事一覧を見る)