正社員不足は企業の49.1%に、過去最高を更新 人手不足に対する動向調査

2017年11月23日 20:58

 帝国データバンクは22日、人手不足に対する企業の動向調査結果(17年10月)を発表した。

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 正社員が不足している企業は、3カ月前から3.7%増、1年前から7.3%増となる49.1%に上昇した。業種別では「情報サービス」が7割を超えてトップになった。続いて「メンテナンス・警備・検査」、「運輸・倉庫」、「建設」、「リース・賃貸」などが6割を超えている。

 規模別では、「大企業」では半数を超える企業が不足感を抱いており、規模が大きい企業ほど、正社員に対する不足感が強くなる傾向がある。この結果、大企業による積極的な採用活動が、中小企業の人材確保をより厳しい状況にしているという。

 企業からは、建設関連では公共工事の確保や、ソフトウェア関連では受託開発受注増など、仕事量増加による人手不足を挙げる声がある一方で、最低賃金上昇が進むなか、価格転嫁の難しさを訴える声などがある。

 非正社員では企業の31.9%が不足していると回答。なかでも「飲食店」は8割が人手不足を感じるなど、消費者と接する機会の多い業種で不足感が高くなっている。人手不足による臨時休業も相次いでいる。アイスクリームのチェーン店では、シャッターに臨時休業や短縮営業を告げる張り紙がなされるなど、サービス業の深刻な人手不足が消費者にも身近なものになっている。

 その他、「メンテナンス・警備・検査」と「運輸・倉庫」の2業種は正社員と非正社員の2業種で上位に挙がり、雇用形態に関わらず雇用が深刻化している。

 国内景気を見ると、世界経済の好感をもとに機械や電子部品の輸出が好調で、建設投資の拡大や訪日外国人の増加から経済活動は活発になっている。一方で、少子高齢化による働き手そのものが不足していることから、人材不足が露になっているのが現状である。

 こうした人手不足を解消すべく、AIやロボットを活用する動きが顕著になっている。JR大宮駅では20日、AIを活用した無人コンビニの実証実験が開始された。スーパーなど小売店では、AIがカメラを通じて入店した買い物客をチェックし、レジの稼働台数を予測する仕組みも出来つつある。

 さらには、時短社員などによる柔軟な働き方推進や外国人労働者の受入れなど、企業主導による改革も動きつつある。今後は、こうした多角的な取り組みを通じて、人材難が克服されることを期待していきたい。

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