『根回し』は合理的選択。戦略的な周囲への配慮が仕事をうまく進める【コンサルタントの技・プロアクティブ仕事術】

2017年11月21日 19:18

 【連載第7回】「毎年同じことを繰り返せばいい」時代は終わり、能動的に先読みした仕事が求められるようになりました。世の中の変化が激しくなり、昔の通りに仕事をしていてはダメだと多くの人が気付いています。本連載では、仕事をデザインし、思い通りにプロジェクトを遂行していくための仕事のスキル「プロアクティブ仕事術」をご紹介します。

『根回し』は合理的選択。戦略的な周囲への配慮が仕事をうまく進める【コンサルタントの技・プロアクティブ仕事術】

 本連載は、書籍『プロアクティブ仕事術 コンサルタントが3年目までに身につける仕事をデザインする方法』(2017年7月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

周りをシラケさせ、協力を得られない原因は「コミュニケーション不足」

 繰り返しますが、仕事は一人でするものではありません。周りの巻き込みが重要です。周りの協力なしに仕事はできません。まして、あなたが出世していこうと思うなら、周りの協力が絶対必要です。

 しかし、ただ単に強制したり、周りをせっついたりしても、協力は得られません。まして、自分勝手に必要な時だけ手伝わせているようでは、人が離れていきます。

 よく、自分だけが空回りしていて、周りがしらけている光景を見かけないでしょうか? これは、最悪です。このままだと、周りの人たちが悪いとか、能力がないとか、自分が悪いにも関わらず、責任転嫁が始まり、自分自身の仕事の能力が向上しません。

 周りをシラケさせ、協力を得られないのは、あなたのコミュニケーションが不足しているからです。

計画的な報告、根回しで「横やり」を防ぐ

 仕事をしていると、突然外野から横やりが入ることがあります。
 特に、他部署の仕事に影響するようなことがあると、速攻で邪魔が入ります。他部署の役職者から、「勝手なことをするな」という声が飛んできます。

 部門をまたぐ大きな仕事をしている場合は、なおさら邪魔が入りやすいものです。
 多くの場合、仕事の内容にいちゃもんをつけているわけでなく、単に「知らされていない」というだけで、壁になって邪魔をする人もいます。こうした場合、事前に知らせておくだけでずいぶんと
 状況が変わります。また、定期的に報告をしておくだけでもいいでしょう。

 一方、あなたの上司にはさらに上司がいます。部長、本部長、事業部長、取締役、社長と階層があり、報告が下から上へと上がっていきます。
 もし、あなたが重要な仕事をしていて、上司の上司に報告をしなければならない場合、報告のための準備と段取り、報告場所・時間の調整、根回しなどがとても重要になります。特に、報告のタイミングと根回しは、仕事の成否を握るくらい大切です。

 報告のタイミングを誤ると、通る報告も通らなくなります。予算に間に合わない、他の重大な案件が発生してまったく相手にされないなど、タイミングを誤ると何が起きるかわかりません。
 私も、報告のタイミングがずれたためにボツになった案件を何件も見ています。報告すべきタイミングに、適切に対応できる計画が必要です。

 また、くだらないようであっても、根回しは大切です。
 根回しは、日本語で言うといやらしく聞こえますが、要は非公式の情報提供と方向付けのすり合わせであって、実に合理的な対応なのです。
 こうした情報提供とすり合わせは、適切に、かつこまめにおこなっておかないと、ここでも「俺は聞いていない」、「勝手なことをするな」という反応があります。
 上司の上司へも、それを根回しと呼ぼうと、定期的に報告をしておくべきです。

 こうした、力のある利害関係者への定期的な報告は、効果的、計画的に行う必要があります。この効果的、計画的に行うためのスキルが「コミュニケーションプラン」なのです。
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あなたに欠けているのは、「戦略的な周りへの配慮:コミュニケーションプラン」

 漠然と仕事をしていると、仕事上の利害関係者へ効果的、計画的にコミュニケーションをとることができません。
 周りがしらけてしまったり、関係する部門や上層部から「勝手なことをするな」と言われてしまったりすると、うまくいくこともうまくいかなくなりかねません。

 こういうことが頻発すると、「あいつは周りの協力が得られない」とか、「あいつは勘違いした進め方をしている」との評価が定着し、昇進ができなくなる恐れもあります。出世にも大きな影響を与えるので、「戦略的な周りへの配慮:コミュニケーションプラン」はとても重要です。

 仕事にコミュニケーションはつきものです。
 戦略的に仕事を進めるにも、コミュニケーションは必須の道具です。戦略的な周りへの配慮は仕事上手に必須のスキルであり、プロアクティブに仕事を進めるための要諦でもあります。

 (次回に続く)

書籍著者:石川 和幸さん

書籍著者:石川 和幸さん早稲田大学政治経済学部政治学科卒、筑波大学大学院経営学修士。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)、日本総合研究所などを経て、サステナビリティ・コンサルティングを設立、代表を務める。IE士補、TOCコンサルタント(Jonah資格)。専門は、ビジネスモデル構想、SCM構築導入、ERPシステム導入、管理指標導入、プロジェクトマネジメントなど。URL: http://www.susco.jp/ 元のページを表示 ≫

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