ストレスチェックの義務化、実施率は7割未満 未だ充分に浸透せず
2017年11月15日 10:29
2015年12月1日に改正労働安全法が施行されてから2年が経とうとしている。この改正で常用従業員が50人以上の事業場にストレスチェックの実施が義務づけられ、その他の事業場にもストレスチェックの実施が努力義務とされた。この改正の背景には近年、精神疾患による労災認定が増加傾向にあり、身体面の保健のみでなく精神保健の観点からも勤労者の健康管理を促進するよう義務づけがなされたものであるといえる。
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11月10日情報基盤開発は、20~59歳の就業者(週30時間以上勤務)400人を対象に、ストレスチェックの実施状況に関する調査の結果を公表した。調査結果ではストレスチェックが努力義務となっている従業員50人未満の事業場では、1~9人の事業場で実施率16.7%、受検率14.8%、10~29人の事業場で実施率23.2%、受検率20.7%、30~49人の事業場で実施率35.6%、受検率27.1%と実施率、受検率ともに極めて低い値を示している。ストレスチェックが義務化されている50人以上の事業場では、50~99人の事業場で実施率54.3%、受検率45.7%、100~299人が実施率60.0%受検率49.1%、300~999人で実施率54.2%、受検率47.9%、1000人以上で実施率66.1%受検率58.9%となっており、「義務化されている従業員50人以上の事業場についても、実施率・受検率ともに7割にも至っておらず、課題が見られる」と結論づけている。
雇用形態別の実施・受検率では、正社員が44%であるのに対して派遣社員が36.9%、パート・アルバイトが28.9%と非正規の従業員で低い値となっている。雇用形態別のストレスの程度では、「高い」「やや高い」と回答したものが正社員で57.7%、パート・アルバイトで71.0%となっており、パート・アルバイトはストレス度が相対的に高くなっているにもかかわらず実施・受検率が低いという実態が示唆されている。働き方別では、飲食・小売店舗で実施率が25.0%と低くなっており、調査結果では「パート・アルバイトが多く雇用されている職種において実施・受検率が低い」と結論づけている。
先に厚労省は7月26日、ストレスチェックの実施状況について集計結果を公表しているが、厚労省の結果では義務化事業所の実施率は82.9%、この内受検率は78.0%となっている。この2つの調査結果の違いは厚労省の調査結果は事業場の報告に基づくもので、この民間調査は従業員側からの報告に基づいて集計されたものという相違がある。(編集担当:久保田雄城)