外食産業、上半期の倒産件数が2000年以降で最高に 居酒屋などの苦境続く
2017年11月15日 06:51
帝国データバンクと総務省の調査によると、個人経営などの小規模な外食産業事業者が厳しい状況にあることが分かった。
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■今年上半期の倒産件数は2000年以降で最多件数を更新
8日、帝国データバンクが発表した「外食関連業者の倒産動向調査(2017年度上半期)」によると、今年度上半期(4~9月)における外食企業の倒産件数は360件。
これは昨年同時期と比較して37.9%の増加であるとともに、4年ぶりの倒産件数増加となった。また2011年度上半期の355件を超えて、2000年以降で最多件数を更新した。
負債総額は、2001年度の約482億円、2008年度の約553億円ほどではないものの、約180億円と前年同期比で31.3%増となった。
また負債規模では5,000万円未満の構成比が81.7%。資料では、2007年度同時期の71.0%から10ポイント以上増加していることから、「零細事業者の経営悪化が目立つ」としている。
■好景気の恩恵は大企業に向かう
業態別の内訳で最も多かったものは酒場・ビヤホールの64件で、昨年同時期の42件から20件増加した。
次いで、中華料理・その他の東洋料理店(55件、前年同時期比+9件、以下同じ)、西洋料理店(44件、+16件)、バー・キャバレーなど(40件、+16件)、日本料理店(38件、+7件)と続いている。
同社発表の各種調査でも好景気を裏付ける結果が出ているが、「好景気の恩恵にあずかっているのは、もともと資金が安定している大手飲食チェーン」、「(大手が伸長したことで)小規模事業者は顧客を奪われ、厳しい経営を強いられた結果、倒産している可能性が高い」と見ている。
■今期は微悪化も見通しは大きく改善の予測
13日、総務省が発表した「個人企業経済調査(動向編)」の2017年7~9月期速報によると、今期(2017年7~9月期)の業況判断指数は-57.4で、4~6月期比0.7ポイントの悪化。「良い/好転」の回答が3.1→3.5と増加したものの、「悪い/悪化」の回答も59.8→60.9と増えたため、全体的に悪化した。
また10~12月期の見通しは-52.3で、5.1ポイント改善。こちらは「良い/好転」が3.5→3.8と微増し、「悪い/悪化」が60.9→56.1と減少しているためだ。
過去を振り返ると、2009年頃の-77から多少の上下動はあるものの、ほぼ右肩上がりの傾向にあり、前期、今期と2連続で-50台に戻している。
■宿泊業・飲食サービス業は次期に改善を見込むものの
産業別では、製造業は-52.9で前期比横ばい、卸売業・小売業は-59.3で1.3ポイント改善、宿泊業・飲食サービス業は-58.0で5.6ポイント悪化、サービス業は-56.4で0.7ポイントの悪化。
また次期の見通しは4業態とも改善となっており、特に宿泊業・飲食サービス業は大きく12.0ポイント改善の見通しだ。
ただし注意したいのは、「宿泊業・飲食サービス業」の調査対象に、「酒場・ビヤホール」と「バ・キャバレー・ナイトクラブ」が含まれない点だ。
日本フードサービス協会発表の「外食産業市場動向調査」2017年9月度報告でも、居酒屋業態は苦境を示していた。帝国データバンク調査と合わせて考えれば、小規模な飲食サービス業、特に居酒屋業態の苦しい状況は、まだまだ続くと考えても良さそうだ。(記事:県田勢・記事一覧を見る)