NYの視点:円売り持ち4年ぶり最大、円の下げ余地を限定的に
2017年11月14日 07:46
*07:46JST NYの視点:円売り持ち4年ぶり最大、円の下げ余地を限定的に
短期投機家・投資家の円の売り持ち高は前週から増加した。売り持ち高は2013年12月以降4年ぶりで最大となった。市場の円売り持ち高が膨らんだことは円の下落余地を狭める可能性がある。
14日には、欧州中央銀行(ECB)主催会合で、ドラギ総裁、イエレンFRB議長、カーニー英中銀総裁、黒田日銀総が討論会に参加予定で、発言に焦点が移行する。ECBは直近の定例理事会において、資産購入プログラムの計画を明らかにしたものの、予想外にハト派姿勢を維持。ドラギ総裁が低インフレの長期化見通しを繰り返すとさらなるユーロ売りにつながる可能性がある。
英中銀は10年ぶりの利上げに踏み切った。一部委員が利上げサイクル入りの可能性も示唆したものの、市場はまだ懐疑的。黒田日本銀行総裁はスイスでの講演で、2%の物価安定目標達成にはなお距離があると認め、今後とも強力な金融緩和を粘り強く続けていく方針を確認した。日銀が当面大規模な緩和を維持する方針が再表明されると、他国との金利差の拡大観測にさらなる円売りに拍車をかける可能性もある。
米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は東京での講演で、12月の利上げを支持する見込みだと発言。順調な景気や雇用の回復が続いており、12月の米国の利上げはほぼ確実と見られている。インフレも中期的には目標である2%達成軌道にあると、ほとんどの連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが見ている。14日に発表予定の10月生産者物価指数(PPI)で利上げ軌道をさらに確認していく。
一方、米国の税制改革において、下院は早くて今週16日の採決を計画している。米上院財政委は、修正税制法案を14日に公表することを明らかにした。ただ、上下院の財政改革案にはいまだ、大きなずれがあり、年内の法案成立にも懐疑的見方が根強い。
*円
ネット・円売り持ち:- 127,848(11/13)←円売り持ち:- 118,869(10/31)(直近ネット円買い持ち最高水準:08年3/25+65,920、04年2/6+64499)(過去最高ネット円売り持ち高:07年6/26-188,077)
*ユーロ
ネット・ユーロ買い持ち:+85,455(11/13)←ユーロ買い持ち:+72,097(10/31)
(07年5/15:+119,538過去最高買い持ち高、10年2/9-57,152過去最高の売り持ち高)
*ポンド
ネット・ポンド売り持ち:−9,198(11/13)←ポンド売り持ち:+1,245(10/31)
(07年7/22:直近ネット買い持ち高最高水準+98,366)
*スイスフラン
ネット・スイスフラン売り持ち:-25,110(11/13)←スイスフラン売り持ち:-20,671(10/31)(過去最高スイスフランネット売り持ち高:07年6/19:-79,331)
*加ドル
ネット・加ドル買い持ち:+50,889(11/13)←加ドル買い持ち:+57,839(10/31)
(直近ネット買い持ち高最高水準:07年10/12+83001)
*豪ドル
ネット・豪ドル買い持ち:+45,437(11/13)←豪ドル買い持ち:+51,608(10/31)《CS》