巨大隕石が大絶滅クラスの天変地異を引き起こすかは落ちた場所による?
2017年11月13日 06:34
小惑星クラスの巨大隕石が地球に衝突した場合、生物の多くが絶滅するほどの気象変動などを引き起こすという説はよく知られている。だが、実際には直径10km程度の小惑星の衝突の場合でも、それが「地球表面上のどこに落ちたか」によって引き起こされる現象はまったく異なるのではないか、という仮説を、東北大学と気象庁気象研究所の共同研究グループが発表した。
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地球生命の歴史において、大規模な環境変動に伴う大絶滅は、これまで5回あったと言われている。いわゆるビッグファイブである。現在の主流の学説では、うち2回目のものだけがまだ原因不明であり、1回目、3回目、4回目は火山の大規模な活動によるもの、そして5回目、「恐竜の絶滅」でよく知られている白亜紀末の大絶滅は、隕石の衝突によるものだと考えられている。
通説では、白亜紀末の大絶滅は6,600万年前に起こった。おそらくその原因となった小惑星の衝突痕である、と見られるクレーターが、メキシコのユカタン半島にある。チクシュルーブ・クレーターである。
ちなみに、チクシュルーブ・クレーターは、地球上で最大のクレーターではない。3番目である。もう2つ、もっと大きい、そしてより古い巨大クレーターが存在する。それらの時には、白亜紀以上の大絶滅は起こらなかったのだろうか。そうだとしたら、それは何故か。
今回提唱された学説によれば、それは、小惑星が衝突した場合にクリティカルな環境変動を引き起こす場所は、地球表面のうちの1割程度を占めるに過ぎないからである、という。具体的にどういう場所かというと、海の近くの陸地である。海の真ん中や、大陸の真ん中よりも、海の辺縁の方が一般的には、「ちり」をまき散らし、そして寒冷化をもたらす度合いが遥かに大きいのであると、この仮説では言う。
今後の研究展望としては、小惑星衝突による寒冷化が、どの程度の頻度で起こるのかを明らかにしていきたいという。なお、研究の成果は、Scientific Reportsに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)