糖尿病治療のための膵島移植法を新開発、東北大の研究

2017年11月13日 06:30

 糖尿病は、膵臓の働きと密接な関わりを持つ病である。膵臓は、インスリンなどのホルモンを分泌する機能を持つ。その腺を膵島という(古い言葉ではランゲルハンス島)。この膵島を移植することで、インスリン分泌を行わせ、糖尿病を治療する、という方法論が存在する。基本的に脳死ドナーの膵臓から膵島を取り出し、消化管から肝臓と移植するという形で行われる。

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 だが、移植された膵島は免疫反応によって多くが消滅してしまうため、複数回の移植をしなければ効果は望めない。その上、移植した膵島によって血圧の上昇などが起こり、移植の回数が制限されてしまうという問題がある。出血や塞栓などの合併症も生じる。全体的に、侵襲性が高く、危険な施術なのである。

 そのような問題を生じない簡便な方法として、皮下に膵島を移植することが考えられる。複数回行わなければならないことは同じだが、肝臓に移植するよりは侵襲性は低く済み、安全性が高い。また、万能幹細胞由来の膵島移植が将来的に可能になった場合、腫瘍化してしまった移植膵島を摘出することも容易である。

 そうしたわけで、様々な研究機関が既に皮下への膵島移植を試みてきたのだが、皮下では十分な血管網が形成されず生着率が悪いという難点があり、臨床応用に至っている研究はまだない。

 そこで、東北大学大学院医学系研究科移植再生医学分野の後藤昌史教授らのグループが開発したのが、新生血管を特殊な素材(I型コラーゲン様リコンビナントペプチド、RCP)によって誘導し、そこに皮下膵島移植を行う、という方法である。まず、RCPによって新生血管床を形成しておく。その上で、膵島を移植するのである。すると、肝臓に移植した場合と同程度の移植結果を得ることができたという。

 現時点では、これは移植効果の面では最も優れた膵島の皮下移植法であるといえる。なお、研究の詳細は、米国の国際学術誌Transplantationに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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