『めちゃイケ』ができなかったこと・・

2017年11月13日 20:08

 バラエティ番組としては、かなり長寿番組となるであろうフジテレビの『めちゃ×2イケてるッ!』が来年の春をもって番組終了となることが決定した。

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 かつては30%近い視聴率を誇ったオバケ番組も、ここ数年は一桁台の視聴率に苦しみ、いつ打ち切りになってもおかしくない状態だったわけだが、とうとう引導を渡された形だ。

 そのことが告げられた時、ナインティナインの岡村隆史は呆然とした顔をしていたが、もし、あれが演出でなかったとしたら、恐るべき危機感のなさというしかない。

 『めちゃイケ』は、1992年から始まった『新しい波』という、次世代の若手芸人を発掘するというコンセプトの番組をその源流とする。

 その中で選ばれたナインティナイン、よゐこ、極楽とんぼ、オアシズ(大久保佳代子は落選)らが、新番組『とぶくすり』のレギュラーになり、ゴールデンになってから『めちゃ×2イケてるッ!』となった。さらに、2000年から始まった『新しい波8』も同じパターンで、『はねるのトびら』を生み出している。

 どちらも、深夜時代は出演者によるコントなどを見せてくれたが、ゴールデンになると、固定化した企画にこだわり、ゲストを使い捨てにし、仲間内だけが面白く視聴者がついてこれない番組と化してしまった。『新しい波』から選ばれた精鋭若手芸人だからだろうか、彼らはそこで止まってしまっていた。

 同時期に放送されていたバラエティ番組と比較するとわかり易いが、『ウッチャンナンチャンのウリナリ』では、よゐこ、キャイ~ン、千秋、ビビアン・スーらのレギュラー、さらには準レギュラー扱いだったさまぁーずや、TIMらの成長過程が楽しめたし、『ガキの使いやあらへんで』でも、今田耕司や東野幸治ら、次世代メンバーを育てている。

 だから番組が終わっても、次世代に引き継がれていき、MCだったウンナンやダウンタウンは、他の番組でも共演していくことが予想できた。

 しかしながら、若手精鋭すぎた『めちゃイケ』は、その年にブレイクした芸人やタレントをゲストとして投入しても、一過性のカンフル剤、もしくはお客様で終わってしまい、番組の中で育つことはなかった。

 岡村隆史が休んだのをきっかけに、若手を入れてみても、(本人にその意識があったとは決めつけられないが)、めちゃイケメンバーになったことに安心してしまったのか、あるいはどこかで「お客様意識」が抜けなかったのか、個性を発揮できないまま終わってしまっている。

 後輩がいない若手芸人に冠番組を持たせ、先輩芸人は極力出演させないという方向性は斬新ではあったが、飽きられるのも早かった。その代わりをつとめたのが、「素人」であり、ヨモギダ君、あるいはオカピーといった、芸人のしがらみがない素人をメンバーが弄って笑いにするというパターンを編み出したわけだが、プロではない素人をメインにするのは荷が重すぎる。

 逆に、そういう広がりがないまま、よくこれだけ続いたともいえるが、内容がどんどん薄くなっていくのは、視聴者にはもろバレだったのである。

 『ウリナリ』『内村プロデュース』『笑う犬シリーズ』『ガキの使いやあらへんで』『ロンドンハーツ』『ゴッドタン』といった番組からはその後、多くの冠番組を持つ芸人が出ているが、『めちゃイケ』からは大久保佳代子以外のブレイクを果たしたメンバーは生まれていない。

 それは、そもそものコンセプトの違いといってもいいだろうが、『めちゃイケ』『ハネトビ』で視聴者が感じた閉塞感と、そこから始まる視聴率の低下は、意識しておかねばならないことだと思う。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

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