ライオン、ビタミンAで涙の質を高める新たなドライアイ点眼薬を開発
2017年11月12日 21:26
ライオンは、ビタミンAを直接点眼することで涙液の質を高める、新しいドライアイ治療薬を開発した。
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ヒトの眼は常に薄い涙の膜に覆われている。しかし、乾燥、過酷な目の使用、コンタクトレンズの使用、加齢、体質など、様々な要因で、この涙の膜の質は低下する。涙の質を決める要素は主に2つある。1つは流量である。もう1つはムチンの含有量である。ムチンは粘性の物質であり、眼球にとって重要な働きをするもので、ドライアイの発生と密接な関わりを持つ。
さて、ビタミンAには、眼の細胞の分化や増殖を促進したり、損傷を修復したり、またムチンの再生産を促す効果があることが知られている。
ビタミンA、レチノールパルミチン酸エステルは、比較的ありふれた栄養素だ。たとえば、その前駆物質であるβ-カロテンは、ニンジンに多く含まれている。その大きな特徴のひとつは、脂溶性であるということだ。であるから、ニンジンを生で齧るよりも、油で炒めるなどして摂取した方が、ビタミンAは多く体内に吸収される。
ただし、経口摂取ならばそれでよいが、眼にビタミンAを与えるとなると、この性質は一躍厄介なものとなる。脂質を眼に点じるわけにはいかない。ビタミンAを水溶状態にして、点眼薬として有効に作用させるためにはどうすればよいか。
その方法は発見されている。ビタミンA粒子を極微小化させれば、水に混ぜることができる。そのための方法として、ライオンは界面活性剤EOPO(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)を利用してビタミンAを微粒子化する技術を開発した。
そして、これをもとに点眼薬を開発し、そのドライアイ患者に対する有効性を検証したところ、確かな有効性があることが明らかになったのである。
なお、研究の詳細は、医学雑誌「Drug Design, Development and Therapy」に発表されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)