【マカオレポート2017】8年目を迎えた「MFF2017」の見どころ

2017年11月8日 18:22

(右から)2017年のサンプル製作コンテストを受賞した「GELEE」のエスター・レオン、「POURQUOI」のラライスミ・ワイ、「CLASSICO MODERNO」のヴィクター・ラオ、「Soul」のレオ・ウォン。 「マカオファッションギャラリー」前で撮影

 マカオ政府がいま、マカオの産業活性化の原動力として力を入れるのが、“クリエイティブ文化の創造”。ファッション分野においても、地元ファッションデザイナーたちがグローバルに活躍できるための活動を、教育からビジネス、販売、プロモーションに至るまで全面的に支える。その取り組みの成果を示した「マカオファッションフェスティバル2017(MFF2017)」は、マカオファッションの“今”が凝縮されたイベント。8年目を迎えた同イベントの見どころを振り返りつつ、マカオファッションが目指す今後について、主催者やゲスト、デザイナーに話を聞いた。

東南アジアからも参加 国際色豊かに

最終日にショーを行った「HANZ COQUILLA Alta Costura」は、フィリピン人デザイナー、ハンズ・コキーラによるドレスブランド。立命館アジア太平洋大学(別府)でコレクションを披露したことがあるという。

 MFFでは、アジア諸国を中心に、海外デザイナーを積極的に招致している。2017年は、初日のオープニングセレモニーを兼ねたランウェイショーで、「nuno & nono」(中国・広州)、「Cheng Pai Cheng」(台湾・台北)、「Kevolie」(香港)、「Pattric Boyle」(タイ)の海外勢4組がショーを行った。また、最終日には、フィリピンから参加した「HANZ COQUILLA Alta Costura」がマカオのドレスブランドとともに最新コレクションを披露し、同イベントを華やかに締めくくった。CPTTM(※)でクリエイティブ事業のシニア・ディレクターを務めるレニー・ンは、「SNSなどのメディアを活用したプロモーションを行うなかで海外のデザイナーたちとの繋がりを強めている。今回はタイやフィリピンなど東南アジアからの参加も実現した。マカオと海外デザイナーの交流が深まるだけでなく、海外勢の参加が増えれば、その国のメディアに注目してもらえる。今後も積極的に参加を促したい」。音楽などファッション以外のコンテンツを加えることも検討しているという。

「HANZ COQUILLA Alta Costura」

※CPTTM=政府と民間団体による非営利組織「マカオ生産力及び科技轉移中心(Macau Productivity and Technology Transfer Centre)」。マカオ貿易投資促進局(IPIM)とともに、「マカオファッションフェスティバル」を主催。マカオのデザイナーたちの育成からプロモーション、販売まで幅広くサポートしている。

マカオファッションのレベルアップに サンプル製作コンテスト

芸術家として活動するユン・ペンの作品

 会期2日目に行われたのは、サンプル製作コンテスト「Fashion Exhibition of the 4rd Subsidy Prgramme for Fashion Design and Sample Making」の受賞者8人がコレクションを披露するショー「スタイル・エンカウンター・モーメント(Style・Encounter・Moment)」。マカオ政府文化局とCPTTMが主催する同コンテストは、賞金16万パタカ(約240万円)を競って行われる。サンプル作品とともに、事業・販売プランも併せて提出する必要があり、クリエイティビティーとビジネスの両面で評価される。4回目を迎えた今年は、ジディオン・タム「KC GIDEON」、ラライスミ・ワイ「POURQUOI」、アロ・ロー&レイニー・チョイ「AURALO ARTE」、ヴィンセント・チェン「WORKER PLAYGROUND」、ユン・ペン、エスター・レオン「GELEE」、 レオ・ウォン「Soul」、ヴィクター・ラオ「CLASSICO MODERNO」が受賞した。  デザイナーのラライスミ・ワイは、2度目の挑戦で初受賞した。「前の年は、クリエーションに集中し過ぎて、市場が求めているものとマッチしていなかったのかもしれない。ほかのデザイナーたちの進歩を感じるとともに、私自身の成長も実感するイベント」と話す。ジディオン・タムも、「政府をあげての取り組みに感謝している。コンテストではあるが、デザイナー同士が競うことよりも、イベントが盛り上がることで、マカオのファッション業界が注目されることの方が重要だ」。  受賞作品は、マカオ発ブランドを展示・直売している「マカオファッションギャラリー」で2017年12月31日まで展示されている。

CPTTM出身のアロ・ロー&レイニー・チョイによる「AURALO ARTE」 グラフィックデザイナーとしても活躍するヴィンセント・チェンによる「WORKER PLAYGROUND」

※金額は1パタカ=15円で計算

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