愛媛県初の木質バイオマス発電所が竣工

2017年11月7日 21:22

 豊田通商のグループ企業であるエネ・ビジョンは、「松山バイオマス発電所」を竣工した。愛媛県では初となる木質バイオマス発電所であり、営業運転は2018年1月からを予定する。

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 基本的なことから述べていくと、バイオマスとは、「化石資源ではない、再生可能な生物由来の有機性資源」を指し、そこから得られるエネルギーを利用するものがバイオマス発電である。

 国際エネルギー機関(IEA)の統計によれば、2013年の日本の発電におけるバイオマス発電の比率は、3.1%。再生可能エネルギー全体(6.0%)の過半を占め、牽引役となっている。

 また、日本は2030年までに電源構成に占める再生可能エネルギー比率を22~24%とし、うち3.7~4.6%をバイオマス発電とする目標を立てている。

 バイオマスというのは、基本的には、端的にいえば廃材である。木質バイオマスもしかりで、松山バイオマス発電所では、間伐材、林地残材を主な燃料とする。また、一部は輸入材であるPKSを混焼する。PKSというのは、パームヤシの殻、Palm kernel Shellである。パーム油を採った残渣であるが、水分が少なく発熱量が高いので、バイオマスとして優れている。

 木質バイオマスというのは原理をいえば薪を燃やすのと同じことではあるが、松山バイオマス発電所では新しい技術を用いて、木材をチップ化したうえで燃焼させる。ボイラーは階段式水冷ストーカ炉、発電出力は12.5メガワット、年間予定電力量は約8万7,000メガワット(時)。これは一般家庭約2万4,000世帯の年間消費電力に相当する。発電した電気は電力会社の送電線を利用して販売される。

 面積の7割、約40万ヘクタールを森林が占める愛媛県においては、木材の需要創出は死活問題といえる。今後、新たな地域雇用の創出、エネルギーの地産地消などを進めていきたいという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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