「どこまでできた?」と聞かれないための「コミュニケーションプラン」【コンサルタントの技・プロアクティブ仕事術】
2017年11月4日 15:42
【連載第5回】「毎年同じことを繰り返せばいい」時代は終わり、能動的に先読みした仕事が求められるようになりました。世の中の変化が激しくなり、昔の通りに仕事をしていてはダメだと多くの人が気付いています。本連載では、仕事をデザインし、思い通りにプロジェクトを遂行していくための仕事のスキル「プロアクティブ仕事術」をご紹介します。
本連載は、書籍『プロアクティブ仕事術 コンサルタントが3年目までに身につける仕事をデザインする方法』(2017年7月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。
どこまでできたのかがわからないから、「ホウ・レン・ソウ」ができない
もし、上司や同僚から「どこまでできた?」と聞かれていたら、あなたはおそらく一人前と認められていません。「どこまでできた?」と聞かれるのは、上司や同僚との間で「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」ができていないからです。
しかし、「どこまでできた?」と聞かれる原因は、単なる「ホウ・レン・ソウ」という行動以前にあることがほとんどです。つまり、そもそも、どこまでできているのか、自分でも把握できないから報告できないという状況です。
聞かれて初めて、頭の中で作業の組み立てを考え直し、場当たり的な返答をする、というのが日常化しているわけです。
こうなると、毎回「どこまでできた?」に対する答えが変わってしまい、上司から「この前と話が違う」となって、信用を失うのです。「どこまでできた?」という問いに、毎回正確にこたえるためには、仕事の進み具合がわかる基準として、作業レベルでスケジュールを明確にしておく必要があります。
タスクの見通しができない人は、信用を失う
「どこまでできた?」という質問のあとには、おそらく「あと、どれくらいでできる?」という問いが来るはずです。
あなたの仕事の進み具合と今後の時間の見積もりから、あなたの仕事の完了を見通し、安心して任せていて良いのか、あるいはなにか対策が必要か、上司は判断したいのです。
また、「あと、どれくらいでできる?」という問いが発せられるときは、急いでいる可能性もあります。上司や同僚が、あなたの仕事が完了するのを待っている場合です。このとき、明確な答えがないと、あとどれくらい待てばよいのかわからないので、聞いた方はイライラします。
もしかすると、あなたの仕事が遅いため、全体の仕事が終わらないかもしれないと、みんなが気を揉むかもしれません。
明確にあとどれくらいかかるか答えられないと、あなたの信用は同じようになくなっていきます。
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「仕事の見える化」が、段取りを良くする
仕事は一人でするものではなく、多くの人と協力しながら進められます。
あなたの仕事の完了を待っている人がたくさんいます。あなたの仕事の進み具合で、自分の仕事の段取りを調整する人もたくさんいます。
こうした人々に対し、あなたは責任を負っているのです。いま、どこまで仕事が仕上がっていて、あとどれくらいで終わりそうか、自分できちんと把握するだけでなく、周りの人にもわかるようにしなければなりません。そのためには、自分の仕事を見えるようにしなければなりません。
「どこまでできた?」、「あと、どれくらいでできる?」に即答するためには、自分の仕事を明確化し、段取りを組んだ上で、進捗状況が一目で把握できるように「仕事の見える化」をしなければなりません。
「仕事の見える化」を行うには、スケジュール化すればいいのです。これは、単純なことなのです。しかし、自分の仕事のスケジュールさえ作っていない人が大多数です。
単純作業ではなく、一人仕事でもない、現代の多くの仕事では、スケジュールを作って進捗管理をすることが必須です。なぜなら、仕事の多くは、たくさんの人と分業で行われ、複雑な前後依存関係を持っているからです。
現代に働くあなたの仕事には、「仕事の見える化」が必要なのです。
「コミュニケーションプラン」を知っていれば「どこまでできた?」は聞かれない
話をもう一歩進めると、「どこまでできた?」、「あと、どれくらいでできる?」と聞かれているようではまだ半人前といったところでしょう。
きちんと仕事をこなす人は、こちらから上司や周りに仕事の進み具合や問題点を「ホウ・レン・ソウ」して、円滑に進めていきます。
上司への報告を計画的に行うことも大切です。仲間や関係者に定期的に状況を知らせることも大切です。こうした周りの人たちとのコミュニケーションは、事前に考えて決めておくべきです。そうしないと、後手に回ります。
思い付きの「ホウ・レン・ソウ」ではなく、計画的な「ホウ・レン・ソウ」が有効なのです。事前に周りとのコミュニケーションの仕方を決めておくのは「コミュニケーションプラン」の一つです。
(次回に続く)
書籍著者:石川 和幸さん
早稲田大学政治経済学部政治学科卒、筑波大学大学院経営学修士。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)、日本総合研究所などを経て、サステナビリティ・コンサルティングを設立、代表を務める。IE士補、TOCコンサルタント(Jonah資格)。専門は、ビジネスモデル構想、SCM構築導入、ERPシステム導入、管理指標導入、プロジェクトマネジメントなど。URL: http://www.susco.jp/ 元のページを表示 ≫