日本の3メガバンク、大リストラへ 低金利下で収益性低下

2017年11月3日 21:41

 日本の3メガバンクを含む日米欧の銀行の収益性が低下している。リーマンショック以降、欧米の金融政策は大幅な緩和、低金利政策を継続させてきた。周知の通り日本においては1990年代のバブル崩壊以降、25年以上の長期にわたって低金利政策を維持し、安倍政権以後は異次元緩和と呼ばれる大幅な量的緩和とマイナス金利に至るまでの更なる低金利政策を実施してきた。世界的な低金利は当然のことながら銀行の収益力を脆弱化させている。

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 IMFは既に17年10月に日本の3メガバンクを含む日米欧の9メガバンクについて収益性の低下によって今後数年間で利益確保が難しくなる危険性を指摘した。米国GDPの7~9月分が3.0%と予想を上回る数字が発表されるなど米欧の景気は回復基調にある。たしかにこれは、FRBや欧中銀の利上げを後押しする要因であるというものの大幅な金利の上昇は期待されていない。日本においては金融緩和の継続が決定され利上げについては議論にもなっていない。

 低金利によって銀行貸出における利鞘が低下し収益を圧迫している中で不動産業などを中心に貸出の増加の動きも見られるが、人口、企業数などの減少によって取引需要自体が減少しており、顧客向け業務での量的拡大による収益確保にも限界がある。こうした環境下で3メガバンクは資産運用の比率を高める方向にシフトしてきたが、総資産の内、約20%が日銀への預金であり、10%が国債、地方債という構成で運用している。結果、総資産の約3割は信用リスクに不安はなく、現状において健全なバランスシートであると言える。しかし、将来的には実効的にノーリターンであり収益の確保へはつながらない。

 日本銀行の「金融システムレポート(2017年10月)」においても銀行の低収益性が問題視され、「金融機関の低収益性の構造的背景」として従業員や店舗数が需要対比で過剰(オーバーキャパシティ)ではないかと分析されている。その上で2000年代央までに銀行の統廃合が進められ従業員数、店舗数とも削減努力が続けられてきたが、金融取引需要を規定する人口や企業数が減少し続けていることが未だにオーバーキャパシティから脱却できない要因と分析している。

 このため銀行は更なる業務の効率化、スリム化によって収益性を向上させる必要がある。日経新聞によれば3メガバンクで3.2万人規模の業務削減が行われる見込みである。3メガバンクの健全性は日本の決済システムの安定のみならず、アジアの金融安定には欠かせない。以前より内外多方面から構造改革を求める声は多かった。(編集担当:久保田雄城)

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