改正労働契約法施行から5年、非正規の雇用の安定は 雇い止めの懸念も

2017年11月2日 19:22

 2013年4月に改正労働契約法が施行されてから来年4月で5年が経過する。改正労働契約法では、パートや契約社員などが有期労働契約を更新し通算5年を超えた場合、労働者が申込をすることで、期間の定めのない無期労働契約に転換できる。申し込み時点で契約が成立し、企業側には拒否権がないので事実上義務化されたものと言ってよい。

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 期間通算の対象となるのは、改正労働契約法の施行された13年4月以降に結ばれた有期契約の期間であり、施行から5年を経過する18年4月から無期転換への申し込みの権利を持つ労働者が現れるようになる(ただし、6ヵ月以上の無契約の空白期間がある場合は通算されなくなる)。

 無期契約と言っても必ずしも正社員になるわけではない。考えられる身分にはいくつか考えられる。まず、(1)給与や就労条件など待遇を変えず、無期契約にするケース。(2)条件の変更を行い、無期契約にするケース。(3)仕事の内容や就労時間、勤務地などを限定して正社員化するケース。(4)他の一般の正社員と同じ待遇で完全に正社員にするケース、などであろう。大多数の企業で選択されるケースは(1)か(2)で、待遇が同じかまたは変更された無期契約の契約社員やパート社員という新しい処遇の非正規雇用が多数発生すると予想される。(3)や(4)の限定待遇あるいは一般の正社員化は人件費負担の増加につながるため少数にとどまるであろうと予想される。

 改正労働契約法の無期契約転換の制度は非正規雇用労働者の生活の安定を目的に導入されたものであるが、一方で無期契約社員などの増加を忌避しようとする企業などで、一定の法的歯止めがあるとはいえ、無期転換条件の通算5年を前に雇い止めをするケースが増え、むしろ非正規雇用労働者の雇用を不安定化させてしまうケースも懸念されている。しかし、今のところ日本の労働市場は人手不足感が強く雇い止めのケースが多数発生することはないであろうと予想されている。

 近年、スターバックスやユニクロといった大手企業で、この改正労働法への対応として有期の契約社員やパート社員を勤務地限定などの限定的正社員へ転換するケースなどもみられ、今のところ改正労働契約法の目的を実現する方向で効果が出ているとも言える。しかし、本格的に大量に無期転換の権利が行使されるのは18年4月以降で、その時、企業がどのような選択をするのかが注目される。(編集担当:久保田雄城)

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