資生堂、銀座で”美しくなれる!?”アートイベント「まわれ右脳!展」

2017年10月30日 22:36

 資生堂(SHISEIDO)は、”五感を刺激する”新感覚のアートイベント「LINK OF LIFE 2017 まわれ右脳!展」を2017年10月26日(木)から11月10日(金)まで、東京・銀座の資生堂ギャラリーにて開催する。

■資生堂の”美しくなれる!?”アートイベント

 メイクアップ(化粧品)を通して、時代ごとに“新しい美”を提案してきた資生堂は、2015年より「LINK OF LIFE」展を企画し、新しいチャレンジとして「アート展覧会を通して新たな美の可能性を探求する」ことに取り組んでいる。初回のテーマは「感触」。さわる、ふれるといった肌の感覚をテーマにイベントを開催。翌2016年には、美しく年を重ねることを意味する、資生堂発のフィロソフィー「サクセスフルエイジング」を「エイジングは未来だ」をキーワードに展覧会形式で発表し、未来における美しい生き方について考えた。

 そして、2017年のテーマは「感性」。視覚、聴覚、触覚、嗅覚という人間の感性を刺激すれば、心身が活性化し肌を美しくするのではないか。アートが”第二のスキンケア”になり得るのではないか。そんなワクワクするようなテーマを掲げて、香りやムービーなどを用いた来場者参加型のアートイベントを行う。

■”サメ体験”や香りを楽しむフレグランスアート

 会場には、触ったり、匂いを嗅いだり…と、参加型で楽しめる3つのコンテンツを設けた。資生堂の研究員、社員と、安室奈美恵のミュージックビデオやNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」のオープニング映像などを手掛けた古屋遙や、国内外で活躍する長谷川愛、科学と芸術の融合作品を作る清水陽子といった外部アーティストがコラボレーションして作品を制作。

■資生堂のフレグランス素材がアートに

 資生堂のフレグランスやフレーバーの素材をベースにした作品では、まるで香水を作るかのように、草花の抽出液を使った香りのインスタレーションが展開される。バラやラベンダー、オレンジ、シナモンなど、8つの植物からエキスを抽出し、一つの瓶へと詰め込んでいく。キラキラと輝くガラス管の中をポツッポツッ…と一定のリズムで流れ落ちるカラフルな抽出液は、優雅で印象深い。

 近くのテーブルには、これら8つの原材料を異なる配合、組み合わせで作り上げた6つの“香水瓶”が並んでいる。透明グラスを手に取り香りを吸い込むと、ふわっと体全体に香りが広がり五感が刺激される。ピリっと刺激的なもの、ほろ苦さを感じさせるスパイシーなもの、柑橘類を想起させる爽やかなもの。それぞれ異なる香りで、6人の女性像を表現した。

■“フェロモン香水”で雄ザメを誘惑?映像&香りで“サメ体験”

 会場に大きく広がるスクリーン、ここに映し出されたのは、長谷川愛らの作品≪ヒューマン シャーク≫だ。「人はサメを誘惑することができるか?」というテーマを掲げて、資生堂研究員とともに2つの“フェロモン香水”を作成。

 一つは、“人もいい香り”だと感じる真っ赤なフレグランス。乾いた大地に生い茂るハーブや野に咲くジャスミンをブレンドし、グレープフルーツでアクセントを効かせた。もう一つの海のように透き通った青色の香水は、海藻・アオサの抽出液などを交えた“海の生き物にとっての美味しい香り”だ。

 映像では、女性がこれらのフレグランスを纏い、うじゃうじゃサメが群れる海へ飛び込む姿が映し出される。“フェロモン香水”が本当に効果があるのか。香りによって、人間は雄ザメを魅了する雌ザメへとなれるのか…。

■身体の中を電気が流れる?

 触覚・聴覚にフォーカスした、古屋遙らの≪身体の境界線がとける部屋≫では、身体の中を電気が通り抜けるような新しい感覚を体験できる。

 用意されたヘッドフォンを装着して、3つの円柱型オブジェの上の水に触る。すると、ヘッドフォンから音が流れ、次に水に触れていない人と手をつなぐと、触れていない人のヘッドフォンからも同じ音が聞こえてくる。これは、「人体通信」と名付けられた技術を取り入れたインスタレーション。体験者の身体がケーブルのような役割を果たし、水から生まれた音が体験者の身体を伝って、他の人の身体へと届けられていく。

■<トークショー>資生堂の「美を引き出すアート」とは?

 「LINK OF LIFE 2017 まわれ右脳!展」の開催を記念して、オープン初日の2017年10月26日(木)、資生堂岩井副社長や企業文化部LINK OF LIFEチーフプロデューサー益井澄子、そして作品を手掛けたアーティストらが登壇し、トークイベントが行われた。

 「LINK OF LIFE」の開催テーマについて話した益井澄子は、資生堂は“第2のスキンケア”としてアート活動に取り組んでいくことを伝え、五感の刺激は脳へと伝わり、その感情の動きが肌そのものをイキイキとさせるのでは?と肌と心のつながりについて話した。また、感性を刺激することで美しさを引き出す「感性美容理論」を「LINK OF LIFE」展を通して国内外問わず発信していきたいと今後の意気込みを語った。

 続く、古屋遙、長谷川愛、清水陽子と3人の外部アーティストによるトークセッションでは、アートと美との関係性や資生堂との制作秘話などが話題に挙がった。3人揃って資生堂研究員とのコラボレーションが興味深かったと評価。資生堂研究所を訪れたことや、毎日のようにスカイプミーティングが行われていたこと、すでに一緒に取り組みたいプロジェクトを話しているなど、制作中のエピソードを踏まえて、資生堂とのコラボレーションを振り返った。中でも“サメ体験”を提案した長谷川は、「際どいところを攻める私の作風を温かく迎えてくれた。」と話し、メンバーの優しさを改めて思い出す。

 3人とも海外生活経験があることから、自分たちの作品の海外での評価が話題に上がると、長谷川は“女性的でアジア的な作品”と言われていると明かした。また、「モノと人、人と人との境界線が溶ける」をキーワードに作品制作した古屋は、日本人は満員電車など日常的に他人と触れる機会が多いため「感じないようにオフにしたり、開放的にしたりと、五感のコントロールが上手い」とコメント。また、「アートは人を美しくするか?」という問いについては、3人口を揃えて、期待したいとプラスの意見で一致。中でも、8つの草花を使って香りのインスタレーションを制作した清水は「アートは美を活性化すると思う」と話し、アートなどを通して精神、身体ともに活性化することが美につながるのでは?と意見を述べた。

■【イベント詳細】

 『LINK OF LIFE 2017 まわれ右脳!展』会場:資生堂ギャラリー住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階会期:2017年10月26日(木)~11月10日(金)開催時間:火曜~土曜日:11:00~19:00、日曜・祝日:11:00~18:00休館日:毎週月曜日(祝日の月曜も休館)料金:無料参加アーティスト(順不同):長谷川愛(アーティスト)、古屋遙(演出家/クリエイティブディレクター)、清水陽子(アーティスト/研究者)、尾関弘子(資生堂/マーケッター)、稲場香織(資生堂/研究員)、タイエビ・パリマ(資生堂/商品開発担当)、加藤康男(資生堂/研究員)、宮永美帆(資生堂/研究員)、間中勇太(資生堂/研究員)展覧会クリエイティブ ディレクター、デザイン・コーチ:藤原大

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