「軽トラ市」に見る地域活性化、地域再生のカギは思わぬところに
2017年10月29日 22:49
「軽トラ市」をご存知だろうか。その名の通り、軽トラで開かれる市場のことである。軽トラは農家をはじめそれぞれの家庭で所有している家も多く、トラックの中でも特に親しみやすい存在といえるだろう。そんな軽トラを利用して開かれる軽トラ市は、日本各地で開催されている。
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静岡県磐田市にあるJR磐田駅前もそんな軽トラ市が開かれる場所のひとつである。ここでは年に4回、日曜日の朝におよそ100台ほどの軽トラが並び市場が開催されている。販売されているのは地元の名産品をはじめ食料品や雑貨などが中心だ。地域の商店街が活気を失って久しいといわれる中でも、軽トラ市が開かれる日はやはり違うという。
軽トラ市のもつメリットには様々なものがある。中でも最大のメリットは、設置と撤収が簡単であるという点ではないだろうか。軽トラは移動可能な乗り物であることから、商品を運んできたあとは荷降ろしをする必要もなくそのまま市場として商売ができる。商品を販売した後はそのまますぐに撤収することもできるため、市場の開催と終了が手軽に行える。軽トラは農業を営む人であればほぼ所有していることから、生産者がそのまま商品を運んでくることが可能な点も軽トラ市のもつメリットといえるかもしれない。
もうひとつ軽トラ市のもつメリットとして挙げられるのが「対面販売」であるという点だ。軽トラ市というものは基本的に期間限定であることから、その時でしか出会えない人や商品というものがある。地方で開催される軽トラ市では、それぞれの地方のもつ地域性が色濃く反映されることになり、外部からその地域を訪れる人はもちろんのこと、地元の人であっても新鮮に映ることだろう。
実はこの軽トラ市には地域の活性化のカギを握っているのではないか、という期待もされている。先述の通り軽トラ市は対面販売であることからそこには必然的に「人と人との対話」が生まれる。商品のやり取りがその場で行われることによって空気も動いていくことになる。人が集まってくれば、それに誘われてさらに人が集まる。地域が活性化するためには、人が集まるための仕組みというものが不可欠だが、そのために必要な要素が軽トラ市にはすべて揃っているというわけだ。
インターネットで欲しいもの・必要なものはなんでも手に入る時代だからこそ、こうした人と人とのつながりは大事にしたい、軽トラ市に込められた希望はそんな願いかもしれない。そして、そんな願いこそが地域活性化のためのひとつのきっかけではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)