三菱電機、車載市場へ猛攻 提携とプラットフォームが功を成すか
2017年10月28日 21:21
電気機器や半導体の各メーカは、成長が期待される車載市場への参入・拡大を目論む。斬新で過激な記事の中には、自動運転技術の進化を支える人工知能(AI)やユーザインタフェース(UI)を核としたプラットフォームを牛耳る企業が、今後の自動車産業を支配するというものもある。これは、パソコンにおいて、マイクロソフトとインテルが市場と利益を牛耳った構図を想定しているようだ。
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三菱電機は、半導体事業や携帯電話事業から傷口が大きくならないうちに撤退し、成長分野へと投資するバランス経営を採っている。特に、成長が見込まれる車載市場への猛攻は、目を見張るものがある。車載のプレスリリースは、10月だけでも9件もあるが、その概要から狙いを考察する。
●日本版GPSでのセンチメートル級測位(CLAS)の横展開
CLASを実現できるのは、準天空衛星の整った日本と東南アジアの一部である。当然、欧米や中国も、CLAS級の衛星を打ち上げると思われる。衛星からの位置情報取得の技術と位置情報の活用技術を分けて、システムを構築しているようだ。この分野では、連携によるプラットフォーム構築がキーなのであろう。
先ず、高精度位置情報サービス利用拡大に向けたHEREとの提携だ。先進運転支援システムの高度化や自動運転の実現に向けて、高精度地図データと高精度な自車位置把握を行う。
次に、「戦略的イノベーション創造プログラム自動走行システム/大規模実証実験」のうち「ダイナミックマップ」に関する試作・整備、国際標準化を狙う。
最後に、CLASを用いた運転支援である。自動運転技術を搭載した実証実験車「xAUTO」を用いた実証実験の結果を東京モーターショーで発表する。
●自動運転に向けたUIのモジュール化
自動運転でのUIは、独立した機能単位でのプラットフォームを構築する考えのようだ。
UIはAIも採り入れて、より具体的なユースケースを示すために、スマートモビリティー時代に向けたコンセプトカー「EMIRAI4」を開発。これにより、濃霧や雪道など見通しの悪い環境下での走行実演で、プラットフォームを訴求する。
AI活用では、運転者の顔の向きや視線情報などから脇見・居眠りなどの異変がないことを確認。自動運転と手動運転との安全でスムーズな切り替えに重点を置く。
外界とのUIにも力を入れている。業界初の「他車や歩行者に運転意図・状態を知らせるライティング技術」を開発。路面ライティングやボディライティングといったユニークな発想は、新たなUIの可能性を秘める。
●個別の機能モジュール
先ず、業界初となる「48Vハイブリッド車向けエンジン出力軸直結型ISGシステム」の量産開始である。欧州市場で需要の大きい48Vのハイブリットによる燃費向上の技術であり、ベンツ向けの量産である。
次に、「広角カメラ型ドライバーモニタリングシステム」である。業界で初めて、1台の広角カメラで運転席・助手席搭乗者を同時にモニタリングし、安心・安全・快適な運転に貢献するという。助手席搭乗者も自動運転に加えるコンセプトであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る)