「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!(3)先物取引で売買できるもの(馬渕磨理子)

2017年10月26日 13:51


*13:51JST 「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!(3)先物取引で売買できるもの(馬渕磨理子)
こんにちは!フィスコマーケットレポーターの馬渕磨理子です。
今回は、「先物取引」の具体的な商品についてお話ししますね。先物取引ができる商品は『原油、金、プラチナ、ゴム、とうもろこし、一般大豆』などがあります。それぞれ、特徴を説明していきます。

【原油】
世界の商品市場の中で最も市場規模の大きな商品が原油です。原油の生産地域は、中東やロシアなどといった地域が中心とされていますが、それらの石油産出諸国は利権狙いなどから政情が不安定なところも多くあります。ニューヨーク市場を始めとして、東京市場においてもこうした産油国の動向や地政学リスク等を背景に大きな値動きとなりやすい商品です。また、石油輸出国機構(OPEC)という有力な国際カルテル機関があり、加盟国による生産調整などが原油価格に大きな影響を及ぼすことから、その動向は世界中で注目されています。近年は米国におけるシェールオイルの動向も価格に影響を与える要因となっています。

【金】
金は、全商品市場の中でも人気商品の一つです。為替の動きとの関連性も強く、現在は比較的手堅い動きをしています。「有事の金」として知られ、戦争や災害といった非常事態においては真っ先に注目される商品です。また、株式市場の低迷や世界的な金融混乱が起きると「行き場を失った資金が安全資産とされる金市場に流入する」ことがあります。インフレヘッジとしての働きもあり、低金利時には特に資金が流入しやすくなります。金に関連性が強い商品として、為替の他には、銀、白金など他の貴金属や原油が挙げられます。

【プラチナ】
プラチナ(白金)は生産量が金の1/30程度しかなく、金以上に希少価値が高いのが特徴です。プラチナは供給量と供給元が限られており生産地のほとんどが南アフリカとロシアに偏っています。プラチナは主に自動車触媒(排気ガス浄化用や燃料電池用)・宝飾品・投資・ガラス・化学・電気などの分野で使用されています。工業用では、その大部分が自動車触媒向けに利用されていますので、自動車の販売台数もプラチナ価格に影響します。
また、東京市場は世界最大級のマーケットであることから、その値動きは世界の白金価格に大きな影響を与えています。

【ゴム】
普段はあまり気にとめない「ゴム」ですが、その多くがタイヤとして自動車産業に消費されていますので、自動車産業の動向はゴム価格に影響を与えます。「東京ゴム」の価格は世界的なゴム市場の指標となりますが、「タイオファー」すなわちタイ産地の日本商社向け販売希望価格(米ドル建て)や、「シンガポールゴム(RSS)」の価格動向にも影響を受けています。主なゴムの産地としては、タイ、マレーシア、インドネシアが挙げられますが、日本の場合は、タイ産ゴムの輸入が多くなっています。また、日本におけるゴムの供給は輸入に依存しているため、その価格は為替レートの変化も影響します。ゴムの価格変動要因としては、産地の天候如何による供給の増減や、自動車の販売動向、最近では「中国の輸入動向」なども挙げられます。

【とうもろこし、大豆】
とうもろこしや大豆の価格変動を知るには、価格指標となる「シカゴコーン」「シカゴ大豆」の価格変動をチェックすることが重要です。
とうもろこしや大豆の値動きについては、4月下旬頃から9月中旬頃までの「天候相場」期と9月中旬頃から3月上旬頃までの「需給相場」期とに分けられます。
「天候相場」期に産地のアメリカで荒天になると、作付け、生育などに遅れが生じ、作柄も悪化する可能性が高くなります。また、コーンに作付け遅れがおこると、大豆の作付けにシフトし、こちらの作付面積が増えるという関係性もあります。
一方、「需給相場」期には、輸出成約高や輸出検証高の増減により価格が動きやすくなります。特に世界消費の20%程度を占める中国向けの輸出量が注目されてきます。また、近年生産量を増加させている南米(ブラジル・アルゼンチン等)の生育状況などにも注意が必要です。
なお、とうもろこしというと人間が食べるものをイメージしがちですが、その消費の半分以上は「家畜の飼料」として消費されます。ですので「家畜の頭数」なども価格の変動要因の一つとなります。その他にもコーンスターチ、アスパルテームなどの食品、燃料用アルコールなど、その用途は多岐にわたっています。
一方、大豆の消費についても、飼料需要(大豆ミール)と可食油需要(大豆油)が大半を占めています。特に大豆ミールは、世界人口増加と食肉需要の増加に伴い需要が増加しています。

それぞれ、需要と供給の背景を知っておく必要がありますね。先物取引について、具体的なイメージを持っていただけたでしょうか!これからもご一緒に先物取引の基本を学んでまいりましょう!次回は、石油の取引について考えていきたいと思います!

“「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!”は、商品先物取引の基礎をフィスコの見解でコメントしています。

フィスコマーケットレポーター 馬渕磨理子《DM》

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