ストレスが最も多い業種は「運輸」、コミュニケーションの少なさ顕著

2017年10月25日 11:04

 仕事や職業生活に関して、強い不安やストレスを感じている労働者が5割を超えるなど、大きな社会問題となっているストレス。その重要性は日増しに高まっており、いかにストレスを軽減させていくか、という問題は労働者側、企業側双方にとって大きな関心となっている。

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 企業で働く人の健康管理を専門に受託するドクタートラストは、321の企業・団体に対しストレスチェックを実施。集団分析データをもとに「ストレスチェック全業種データ分析レポート」を算出した。本調査では、主となるストレス要因を『仕事の負担』『仕事のコントロール』『上司とのコミュニケーション』『同僚とのコミュニケーション』の4項目に分類し、それぞれランキング化している。

 『仕事の負担』が最も高かったのは、五輪や災害復興などで需要が高まる「建設」(8.9)。2位は「卸売・小売」「金融」(8.8)。以降、「不動産」「製造」がそれに続いた。これら上位の業種は仕事で求められる質・量、スピード、熱意といった、個人が感じる仕事のトータルな負担感が高く、健康や離職についての一定のリスクが存在するといえるだろう。一方で、ランキング最下位、仕事の負担感が最小な業種としては「公務」(7.7)「郵便等」(7.8)などが挙げられた。

 次に、『仕事のコントロール』について聞いたところ、最もコントロールしにくい業種は「医療・福祉」(6.9)。「運輸」(7.3)と続き、人手不足により労働環境が悪化し、自由度が低下している可能性などが感じられた。3位の「公務」(7.4)は民間と比較して個々人に自由度や裁量権が少ないことは納得できるだろう。ここでも最下位は「郵便等」となり、郵便局、協同組合等は比較的仕事の負担が少なく自由度が高いというポジティブな結果となっている。

 『上司とのコミュニケーション』は上司とのコミュニケーションのとりやすさや深さ、信頼関係について、それが少ない業種ほど上位にランキングされており、1位は「生活・娯楽」(6.9)で理美容、旅行、冠婚葬祭、ゴルフ場等。2位の「運輸」(7.0)。3位は「医療・福祉」(7.1)となった。上位の業種はいずれも単独で行い、かつスピードの求められる業務が多い傾向にあるなか、上司側のマネジメントが行き届いていないケースなどが予想される。最後に、『同僚とのコミュニケーション』について聞いた。1位は「運輸」(7.7)。2位は「製造」「情報通信」「医療・福祉」の(8.0)となった。

 全体的に社会的需要が高く、業務が集中する業種でストレスが高くなる結果となった。さらに、人手不足がそれに拍車をかけている。急増する需要に対応しきれず、最も生産性を挙げるべき業種で生産性が上がらない、という悪循環に陥っている事が予想される。特に「運輸」は3項目で上位にランクインしており、ストレスの蔓延、不安定な精神・身体状態による勤務での社員や企業双方のリスクが心配される。「運輸」を始めとして、過重労働傾向のある業種では、上司や同僚とのコミュニケーション不足が顕著に現れている。今後、ストレス発生の原因を社員個人の責任にするのか、企業側が責任を持って改善していくのかで明暗が分かれそうだ。 (編集担当:久保田雄城)

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