厚労省、民泊施設約1万件に行政指導 トラブルも増加で指導数は急増
2017年10月23日 10:55
厚生労働省は、2016年度に民泊施設約1万件に対して行政指導を行ったと発表した。近年、外国人観光客を中心に利用が急拡大している民泊施設であるが、東京や大阪の特区を除けば、その多くの施設は違法民泊物件となっている。
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違法民泊施設の急増に伴い、近隣トラブルも増加している。厚生労働省による行政指導は2015年度の1,413件と比べ、指導件数が1年で7倍に増加しており、民泊施設の急増ぶりが行政指導の件数からも分かる結果となっている。
また行政指導に至った経緯としては、「警察・消防等の警察機関からの連絡」が43%、「近隣住民・宿泊者からの通報」が34%と両者で約8割を占めており、警察・消防及び近隣住民とのトラブルが、違法民泊施設で頻発している実態も明らかになっている。
既に本年民泊新法(住宅宿泊事業法)が国会で可決・成立しており、来年6月までの施行が予定されている。民泊新法施行により民泊運営のルールが定められることになるが、現状の違法民泊施設についても対応は今後の課題とされている。また民泊新法は運用の詳細が条例で定めることが可能であり、各自治体に運用が任される面も存在している。
民泊の利用は訪日外国人観光客の利用が主であるが、旅行サイトのエクスペディアグループのホームアウェイの調査によると、日本人による民泊利用者も急速に上昇しており、内外問わず民泊の利用が浸透。よって民泊利用の問題は、外国人観光客に限らない状況になりつつある。
ホテル利用に比べ安価に宿泊ができる民泊であるが、その施設については違法施設も現状多いため、民泊新法施行を契機に違法施設の対策が進むことも期待されている。ただし増え続ける訪日外国人観光客に対し、宿泊施設の絶対数が不足しているとの現実も存在している。
民泊新法施行まで時間があるものの、行政の連携も含めた対応により、今後の民泊市場の健全な発展を期待したい。(編集担当:久保田雄城)