世界の金融機関40社、米の仮想通貨VBに出資

2017年10月23日 11:08

 アメリカの仮想通貨のデリバティブ事業、ブロックチェーンなどを展開する有力ベンチャー「R3」に、国内のSBIホールディングス<8473>をはじめ世界各国の金融機関40社あまりが出資することがわかった。R3が開発、提供するブロックチェーンの基幹システムのネットワークにおいて、金融機関間の取引データを承認する仕組みが構築されることで、仮想通貨の送金をはじめ、貿易決済などの金融取引コストの削減を目指すもの。国内ではSBIホールディングスが出資比率40%、約20億円超出資、筆頭株主となるもようだ。

 R3はこれまでは数名の創業者などが100%保有であったが、今回初めて外部からの出資となり、今回の株式発行で日本円で総額およそ120億円を調達。国内からはSBIホールディングスほか、野村ホールディングス<8604>、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>など3つのメガバンク、海外からは、アメリカのバンクオブアメリカ・メリルリンチ、ウェルズ・ファーゴ、シティグループなどが出資する。これにより基幹システムの開発費用などにあて、この秋にも金融取引における実用化を目指す。

 ブロックチェーンは「分散型台帳」とも呼ばれ、取引データをお互いに共有し、正確な記録をチェーン状につなぎ蓄積するシステム。世界の大手金融機関と連携することで、これまでもR3は金融取引にかかる基幹システムを開発してきたが、金融機関もこのシステムを活用することで、取引コストや時間を削減できるうえ、システムへの投資も分担できる。各金融機関も今回のことでシステム開発により関与し、さらに新たな金融サービスを開発していく狙いもある。

 先だっては輸入、輸出の際の貿易金融、デリバティブなどでこのブロックチェーンを利用した金融取引が可能になる見通し。将来的には不動産取引、また利用者の本人確認などにも応用が期待され、個人にとってもコスト削減の恩恵が期待できるようだ。

 今回筆頭株主となったSBIは昨年よりR3の企業連合にすでに加わっており、実証実験にも参加。傘下組織のSBIインベストメント運営のベンチャーキャピタルファンドを通じて出資を行う。また米仮想通貨ベンチャーであるリップルと共に設立した「SBIリップルアジア」を傘下に、この夏にもビットコインなど「仮想通貨取引事業」に参入、さらには独自の「SBIコイン」という仮想通貨の開発も計画中、ネット証券の取引においてもブロックチェーンの活用を見込んでいる。R3に派遣した取締役と、開発を行い、これらを活用した「仮想通貨取引所」の運営や取引コストの削減により、顧客拡大を狙う。(編集担当:久保田雄城)

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