温暖化により野生の竹が生息域を拡大、山林に悪影響のおそれ

2017年10月22日 21:13

 通説では、竹は中国から渡来した外来種であると言われる。これが地球温暖化の影響により生息域北限を500キロメートルほど拡大し、稚内まで到達、里山の環境に悪影響を及ぼすことが懸念されている。国立環境研究所などの研究グループが発表した。

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 竹は遅くとも10世紀頃、つまり『竹取物語』が成立したとされる頃には日本にあった。日本列島にもともと生息する竹の仲間があったとする説と、すべてユーラシア大陸からの渡来植物であるとする説があり、まだこの問題は解決を見ていない。

 しかしいずれにせよ、現在、150から600種に及ぶ(これも学説により見解がかなり分かれる)日本に生息する竹の仲間のうち、生育面積にして99%を占めるモウソウチクとマダケの2種は、「産業管理外来種」に指定されている。産業に利用することができ、公益上の価値を持つが、利用においてある種の留意事項がある種に与えられる分類だ。

 マダケ属はもともと温暖な気候帯の植物であるが、生命力が強く、特に西日本で放置竹林の拡大が問題となっており、それが東日本や北日本にも広まろうとしているという。

 よく知られているように、竹はタケノコとして食用になり、また伝統的に、竹材として多くの用途に用いられてきた。だが1970年代のタケノコ輸入自由化のために竹林の放棄が進み、荒れるがままになっているケースが多いのである。

 特に、モウソウチクは成長が早く、1カ月で20メートルの高さまで成長し、周辺の植物を日射から遮り、枯らしてしまう。放棄竹林は年間3~4メートルほどの広さで拡大していくと言われ、里山管理の上で重大なリスク要因となっている。地球温暖化の悪影響は、こんなところにも見ることができるというわけだ。

 なお、研究の詳細は、Ecology and Evolution誌(電子版)に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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