仕事を抱え込んで人に迷惑をかけるあなたに必要な「優先順位の判断」【コンサルタントの技・プロアクティブ仕事術】
2017年10月19日 10:28
【連載第3回】「毎年同じことを繰り返せばいい」時代は終わり、能動的に先読みした仕事が求められるようになりました。世の中の変化が激しくなり、昔の通りに仕事をしていてはダメだと多くの人が気付いています。本連載では、仕事をデザインし、思い通りにプロジェクトを遂行していくための仕事のスキル「プロアクティブ仕事術」をご紹介します。
本連載は、書籍『プロアクティブ仕事術 コンサルタントが3年目までに身につける仕事をデザインする方法(著:石川和幸)』(2017年7月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。
「毎日残業なのに、仕事が終わらない」
毎日残業で時間がないと嘆いているあなた、もしかしたら、その原因はあなた自身にあるのかもしれません。
なぜ、あなたは残業が続くのでしょう。
原因はさまざまです。もしかしたら非常に効率の悪い仕事をしているかもしれません。やる必要のない作業を行っていたり、複数の作業の間を行ったり来たりして集中できなかったりして、時間がいくらあっても足りない状況なのかもしれません。
こうした状況は、今、自分が何をなすべきか分かっていないことから生じることがあります。
やるべきことが整理できていないから、ドタバタして、優先順位も判断できず、まともに仕事が進まなくなって残業ということになるのです。
また、上司に問題がある場合もあるでしょう。こちらの都合も無視して、どんどん仕事を割ふってくる上司もいることでしょう。この場合も、上司の要求なので急いで仕上げなければ、と慌てるかもしれませんが、そんな必要はありません。緊急かどうか、今すぐ着手しないと期限に間に合わないかどうか確認することで、場合によって、上司の仕事を後回しにすることもできるのです。
こうしたことは、自分の仕事の作業が分かっていて、上司の飛び込み仕事が追加で対応して大丈夫かどうか、また、そのために自分の仕事に影響が出る場合、どの作業が遅れるか、といった判断が瞬時にできる必要があります。こうしたことは、自分の作業が明確に分かっていないと難しいのです。
仕事の遅延は周りに迷惑をかける
仕事をするにあたって、たいていのことは組織やチームで行うことでしょう。あなたはたった一人で仕事をしているわけではなく、たいていはあなたの仕事の完成を待っている人がいるはずです。
あなたが期限通りに仕事を終えて、次の人にあなたの仕事のアウトプットを提供できれば問題ありませんが、あなたの仕事がいつ終わるのかわからないような状態になっていると、周りは非常に迷惑を被ります。
早く帰りたいのに、あなたの仕事が終わるまで待たねばならず、残業する人もいるでしょう。あなたが遅れることで、すべての工程が遅れて、全体のスケジュール、コストに影響することもあるでしょう。
あなたがきちんと仕事を終わらせないことによって、あなたの後に仕事の工程がある人たちは大迷惑を被るのです。少なくとも、約束通りの期限に仕事を仕上げなければなりません。そのためには、「やるべきことの明確化:手順展開」を行ったうえで、作業が現実的に完了できるスケジュールを作っておく必要があるのです。
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プロアクティブ仕事術 コンサルタントが3年目までに身につける仕事をデザインする方法
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本書は、アクセンチュアなどでコンサルタントを務めた後、独立コンサルタントとして多くのプロジェクトに参画してきた著者が、コンサルティングの現場から学んだ仕事の「基本」を整理したものです。
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突然仕事を依頼する=嫌われる
あなたが一人で遅れるだけならまだ良いのですが、あなたが突然周りの人に予期せぬ仕事をふって、大変な思いをさせていることもあるでしょう。既に書きましたが、突然上司に仕事を振られた経験もあるでしょう。帰ろうと思っていたら、突然「これ、明日までに」と指示されて、デートや家族との食事を棒に振った人も多いことでしょう。
こんないやなことを、あなたもやっているかもしれません。上司でさえ、こんなことをしていると部下の協力が得にくくなります。上司でもないあなたが、周りの人に突然仕事を振って嫌な思いをさせていたら、だんだんと周りから人がいなくなり、仕事を手伝ってくれる人がいなくなるかもしれません。すると、ますますあなたは仕事が回らなくなっていき、大変になっていきます。
そもそも突然仕事を振るというのは、仕事が見えていない証拠です。「やるべきことの明確化:手順展開」をしておいて、余裕を持って事前に割り振っておくことが理想です。
仮に突発事項が起きたとしても、事前に起きる可能性のある突発事項を検討し、対応を考えておけば慌てずに対応できるうえに、事前に「こういうことが起きた場合は、緊急対応を依頼する可能性がある」と知らせておけます。
起きる可能性のあるリスクを事前に知らせておけば、協力も得やすいものです。
優先順位をつけて仕事を組み立てる
残業が多く、仕事が終わらないということは、あらゆる意味でプロアクティブな仕事の組み立てができていない証左です。対応すべきプロアクティブ仕事のスキルを総動員しなければなりません。
残業が多い理由の一つは、そもそもやるべき仕事とやるべきでない仕事、急いで仕上げなければならない仕事と今すぐやらなくても良い仕事の識別が付いていないことです。
つまり、「やるべきことの明確化:手順展開」がされていないので、作業単位に優先順位付けとやるべきタイミングの判断が行われていないのです。
「やるべきことの明確化:手順展開」を行い、優先順位を判断し、作業すべきタイミングを事前に見積もって、今やらなくてもよい仕事は先送りして、今すぐやるべき仕事をやれるようにしなければなりません。
(次回に続く)
この記事の話し手:石川 和幸さん
早稲田大学政治経済学部政治学科卒、筑波大学大学院経営学修士。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)、日本総合研究所などを経て、サステナビリティ・コンサルティングを設立、代表を務める。IE士補、TOCコンサルタント(Jonah資格)。専門は、ビジネスモデル構想、SCM構築導入、ERPシステム導入、管理指標導入、プロジェクトマネジメントなど。URL: http://www.susco.jp/