クアルコム、世界初5Gモデムでのデータ通信に成功 インテルへのリード保つ

2017年10月19日 07:18

 クアルコムは18日、第5世代移動通信システム(5G)用モデムチップセットの試験で、28ギガヘルツ帯でのデータ通信に初めて成功したと発表した。昨年10月に発表した「Snapdragon X50 5Gモデム」チップセットで、複数の5Gキャリアに対して、毎秒1ギガビット(ギガは10億)を超えるデータのダウンロードを実証。これは、28ギガヘルツの小型のミリ波アンテナモジュールを使用して無線通信を確立したという。併せて、「Snapdragon X50」のデータ通信に加え、5Gの性能をテスト・最適化する5Gスマートフォンリファレンスデザインも発表した。

【こちらも】ソフトバンクとノキア、次世代通信5G商用化に向け実証実験

 他方、インテルは今年1月、5Gモデムを発表してクアルコムの牙城に挑戦している。インテルの5G端末のテスト環境「5G Mobile Trial Platform」を使用した実証実験をノキアやエリクソンらが実施、9月には中国ファーウェイも実証実験に参加したとの情報がある。

 これらを考えると、5Gのモデムチップセットの勝者を語るのは時期尚早である。今後の5G独自の規格草案の策定やスマホへの採用状況はこれからである。それでも、7合目まででは、クアルコムがリードを保ったのであろうか。

●5Gとは

 スマホなどの移動体通信システムの第5世代を5Gと呼ぶ。1979年のアナログ式の移動体通信システムを第1世代として、現在使用している最新のスマホは第4世代である。世代毎に、通信速度が向上しているのは体感できているのであろう。

 総務省では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、世界に先駆けて、5Gの実現を目指している。5Gの特長は、高速・大容量、多数同時接続、そして伝送遅延の少なさである。

 高速・大容量は、8K映像のような高精細映像をスムーズに伝送して、視聴できるレベルという。無線での高精細映像は、娯楽・医療・教育分野での応用のみならず、ホログラムや拡張空間などの新たな市場を生むと期待されている。

 あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の普及も念頭に置く。多数の機器の同時接続が可能となり、クラウド上で処理した結果をリアルタイムに受け取ることができる。目標の伝送遅延は、1ミリ秒で4Gの1/10だという。

●「Snapdragon X50 5Gモデムチップセット」

 今回のモデムチップセットは、28GHzのミリ波スペクトル帯で、世界で初めて5Gのデータ通信を実現したものである。発表から1年でのデータ通信の成功は、モバイルの雄クアルコムの実力も実証したのであろう。

 5Gデータ通信のデモは、100メガヘルツの5Gキャリアを使用してギガビットのダウンロード速度を達成。データ通信には、28ギガヘルツのミリ波帯を使用した。

 このミリ波帯の通信には、5G独自の規格草案NR(New Radio)を含む。具体的な記載はないが、2019年以降の商用化に向けて、5Gの統一規格でも覇権を握るのであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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