太陽は不可視の小規模なフレアで大気温度を維持しているーJAXAの研究

2017年10月16日 06:41

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所を中心とした国際共同研究グループは、太陽フレアが発生していないように見える領域でも、微小なフレア「ナノフレア」が発生し、太陽の大気であるコロナの熱を数百万度に保っている、という説を大きく裏付ける観測データを得ることに成功した。

【この現象も話題に】太陽フレアとは何か、どういう現象が起こるのか、どんな対策が必要か

 フレアというのは太陽表面で起こる爆発である。「太陽面爆発」とも言う。小規模なものまで数えると、1日3回ほど発生しているとされてきた。1859年に始めて観測され、通常の大きさは1万から10万キロメートルほどだが、2012年には地球をかすめるほどの巨大フレアが発生したこともある。

 ちなみに、比較してどうなる話でもないが、その威力をエネルギーで換算すると、水素爆弾にして10万個から1億個ほどの威力と同等である。

 次はコロナについて解説しよう。太陽にも大気があり、コロナと呼ばれるのだが、これが非常に高温である。太陽が熱いのだから大気も熱くて当然と思われるかもしれないが、そうではない。太陽の表面温度は5800ケルビンほどなのに、コロナは数百万ケルビンの熱を持つのである。

 なぜ太陽の大気がこんなに熱いのか、長年に渡り謎とされており、この問題を「コロナ加熱問題」という。

 太陽研究において重要なテーマであるので、いくつかの仮説が提示されている。その一つが「ナノフレア仮説」だ。微小なフレアが頻繁に発生してコロナを暖めている、という考え方である。

 仮にこのナノフレアがあると仮定すると、1000万ケルビンを越える熱を持つ超高温プラズマが存在する、と理論的に予測されていた。これを始めて検出したのが、今回の研究である。観測には、硬X線観測装置を搭載した太陽X線観測ロケット FOXSI(Focusing Optics X-ray Solar Imager)と太陽観測衛星「ひので」が用いられた。

 なお、研究の成果は、Nature Astronomy誌に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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