実質賃金、8月は0.1%増加で8カ月ぶりにプラス

2017年10月16日 07:43

 厚生労働省は6日、8月分の毎月勤労統計調査の速報値を公表した。これによれば消費者物価の上昇率0.8%を考慮した実質賃金は前年同月比で0.1%の増加となった。実質賃金がプラスに転じるのは16年12月以来8ヵ月ぶりである。

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 一方、物価変動を考慮しない名目レベルの賃金に当たる「現金給与総額」は27万4490円で、前年同月比0.9%の増加だった。名目賃金の増加は2ヵ月ぶりである。「現金給与総額」のうち、賞与等を除いた「決まって支給する給与」は25万9964円で前年同月比0.6%の増加、基本給に相当する「所定内給与」は24万952円で0.4%増加、残業代等の「所定外給与」は1万9012円で1.5%増加した。

 パートタイムを除く一般労働者では「現金給与総額」が35万2685円で前年同月比で0.7%増加、「決まって支給する給与」は33万2318円で同0.4%の増加、「所定内給与」は30万6347円で0.4%増加、「所定外給与」は2万5971円で1.7%の増加であった。パートタイム労働者では「現金給与総額」が9万6611円で0.4%増加、「決まって支給する給与」が9万5371円で同0.3増加、「所定内給与」は9万2190円2190円で同0.7%増、「所定外給与」は3181円で5.4%減少であった。

 「現金給与総額」を産業別にみると金融業、保険業が一般労働者およびパート労働者の計で38万9224円、前年同月比は7.1%増加と最も高かった。次いで工業、採石行等が前年同月比5.2%と高かった。電気・ガス業では前年同月比が-5.7%と最も減少率が大きかった。

 消費者物価指数が0.8%の増加であったため「現金給与総額」の0.9%の増加の方が0.1%高い結果となり実質レベルでの上昇となった。実質賃金指数表の「現金給与総額」をみても16年12月の前年比0.1増以来8ヵ月の増加であった。実質賃金指数で見ると2015年を100とすると17年8月速報値は87.2と長期的には実質賃金が上昇しているとは言えない。「決まって支給する給与」の指数は99.8で時系列的には100の周りを揺らいでいる状態である。名目レベルの「所定内給与」の賃金指数ではわずかに上昇傾向にあるが、ほぼ横ばいであり、これが消費の弱含みの一因とも考えられる。(編集担当:久保田雄城)

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