アサヒ、青島ビール株売却の方針 今後は欧州に注力
2017年10月14日 11:36
アサヒビールの親会社アサヒグループホールディングスは、中国のビールメーカーで同国2位のシェアを持つ青島ビールの保有株式について、売却を検討していることを明らかにした。アサヒは青島ビールの株式の約20%を保有している。売却先は未定であり、一部の売却になるか、全てを売却するのかもまだ決まっていないという。今後は、ヨーロッパ諸国向けの高級ビール事業に力を入れていく方針。
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青島ビールはもともと、山東省青島がドイツの租借地だった1903年、ドイツ人の投資家が始めたビール製造事業に起源を持つ。1919年、青島は転じて日本の租借地となり、青島ビールは日本の大日本麦酒が買収し、事業を引き継ぐことになった。
この大日本麦酒は、詳しい話は避けるが現在のアサヒビールとサッポロビールの前身である。つまりこの頃既にアサヒと青島ビールの間に接点はあったことになる。
第二次世界大戦の終結とともに青島ビールは中国の国営となり、そして1993年、民営化された。1999年、アサヒビールと合弁企業を設立、相互にビールの共同販売などを行ったが、結論からいえばあまり成功はしなかった。
一方、ヨーロッパではどうか。アサヒはイタリアのPeroni、オランダのGrolsch、英国のMeantime、チェコのPilsner Urquellなどのビール会社を、2016年から今年にかけ相次いで買収している。これらの事業を将来的に成長させ、中国では成功しなかった、アサヒブランドとのシナジーを目指していくという。
なお、本件の影響により、青島ビールが日本で飲めなくなる、ということはまずないと思われる。アサヒビールが青島ビールとの提携を弱めた後、現在は池光エンタープライズが青島ビールの輸入事業を手掛けているからだ。同社は缶、小瓶、大瓶、そしてスタウトにプレミアムと、5種類の商品ラインナップを取扱い、飲食店・酒販店向けに卸売りを行っている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)