仕事が「いっぱいいっぱい」のあなたに必要な「やるべきことの明確化」【コンサルタントの技・プロアクティブ仕事術】

2017年10月13日 08:02

 【連載第2回】「毎年同じことを繰り返せばいい」時代は終わり、能動的に先読みした仕事が求められるようになりました。世の中の変化が激しくなり、昔の通りに仕事をしていてはダメだと多くの人が気付いています。本連載では、仕事をデザインし、思い通りにプロジェクトを遂行していくための仕事のスキル「プロアクティブ仕事術」をご紹介します。

仕事が「いっぱいいっぱい」のあなたに必要な「やるべきことの明確化」【コンサルタントの技・プロアクティブ仕事術】

 本連載は、書籍『プロアクティブ仕事術 コンサルタントが3年目までに身につける仕事をデザインする方法』(2017年7月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

あなたに欠けているのは「やるべきことの明確化: 手順展開」

 「あれどうなっている?」と聞かれたり、仕事の負荷オーバーになったりすることを避けるために必要なことが、「やるべきことの明確化:手順展開」です。

 「手順展開」とは、仕事の手順を作業ベースにまで詳細に分解して、順序立てることです。手順が作業ベースまで詳細化されていれば、作業の要否が検討できます。ヌケ・モレの検証もできます。作業の順序を組み立てて、効率的で、手戻りのない順序を決めることができます。

 作業のレベルで順序が明確であれば、関係者に対し、事前に作業ステップを説明しておくことができますし、「あれどうなっている?」と聞かれても、「それは○○の作業が終了次第行います」とか、「××の作業が遅れているので、2日ほど作業が遅れる見込みです」などと即答もできます。また、作業レベルまで詳細な仕事が把握できていれば、その作業にどれくらいの負荷がかかるのか見通すこともできます。事前に作業量を見積もり、負荷オーバーにならないように調整も可能です。

 仕事をプロアクティブに組み立てるには「手順展開」が非常に重要です。「手順展開」が必要なもうひとつの症例を、次に説明します。

「行き当たりばったり」で、とっちらかった仕事をするあなたへ

あれもこれもで、仕事が「いっぱいいっぱい」のあなた

 仕事をするにあたって、よく、「あれもこれもやらなきゃ」といってパニック状態になって仕事をする人を見かけるかもしれません。あるいは、時に自分がパニック状態になることもあるでしょう。いわゆる「いっぱいいっぱい」の状態です。

 この状態になると、まともな判断ができなくなり、手当たり次第に思い付いた作業を始め、途中で手順が悪いと別の作業に移ったり、同時に複数の作業を細切れ・並行で行ったりして、品質が低下し、良いことがありません。
 一日中、なにか必死になってやっているにも関わらず、きちんと成果が出るわけでもなく、充実感があるわけでもなく、疲弊していくパターンです。

 こうした状況は、自分が何をするべきか、きちんと見えていないことにより引き起こされます。
 未整理のまま、仕事に突入するから、後からあれもこれも、になって、順序性もなく、とっちらかった作業の集積になってしまうのです。

 こうした状態が、一人で完結して起きているならいいのですが、周りの人も巻き込んでいると最悪です。唐突に作業指示が来て、そのすぐあとに別の指示が来て、混乱した指示、依頼が来るので周りも迷惑です。ムダな作業を周りに撒き散らし、組織全体の効率性を低下させていくのです。

 要は、何をすべきかわからなくなっていて、一方で期限があるのでパニくっているのです。仕事はきちんと順序立てていれば、粛々と進めることができるはずです。そうしたことを実現するには、期限内にどのような作業があるのか、一度冷静に立ちどまって考えることです。「走りながら考える」は厳に戒めるべきなのです。
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「あ、あれが抜けていた」とヌケ・モレだらけのあなた

 「あれどうなっている?」という質問を上司からされて、はじめて「しまった、考えていなかった」とヌケ・モレに気づくということも良くあるでしょう。あるいは、自分で気づいて、手戻り作業が発生する場合もあるでしょう。

 こうしたことが頻発すると、あなたの仕事の評判も落ちて信頼を失いますし、効率も悪くなります。そうしたことを防ぐためには、事前に仕事の作業を詳細に切り出して、ヌケ・モレがないように事前検討しておくべきなのです。

 ヌケ・モレがあると、予期せぬ追加作業が発生して、時間が足りなくなるかもしれません。仕事が進んでからヌケ・モレが発見された場合、事前にやっておけば問題なかったことも、後でやるとなると、とんでもなく大変になったりします。

 仕事が複雑になって、時間がいくらあっても足りなくなってきている現代では、「あ、あれが抜けていた」というのは、絶対に避けなければならないのです。

あなたに欠けているのは、「やるべきことの明確化:手順展開」

 「いっぱいいっぱい」の状況を避けるには、事前にやるべきことが分かっていて、やるべきこととやるべきでないことを識別して余計なことはしないようにしなければなりません。
 時間配分を上手にしたり、場合によっては人に割り振ったりすることができなくてはなりません。作業のヌケ・モレをなくして、手戻りをなくすことは仕事の基本です。

 こうしたことを避けるために必要なのが、「やるべきことの明確化:手順展開」です。これは仕事の基本中の基本です。
 いつもやることが決まっているルーチン仕事は、まさに「やるべきことの明確化:手順展開」が行われて然るべきです。

 たとえば、薬品を作る工場で「やるべきことの明確化:手順」が不明確であったらどうなるでしょう。
 毎回投入する原料の量を考える必要があって、さらに反応炉の立ち上げ方、温度設定、回転スピード、圧力、反応時間などが決まっていなかったら、安定した品質の薬品ができるはずありません。その上、作業者は超のつくほどの熟練者しかできず、普通の人が雇えないとなるとコストが高くなって大変です。

 薬品を作る工場も「やるべきことの明確化:手順展開」が行われているからこそ、安定した品質の薬品を、安いコストで生産することができるのです。

 ルーチン仕事ではなく、毎回手順が変わる仕事も、変わるからといって行き当たりばったりに作業せず、着手前に「やるべきことの明確化:手順展開」を行うべきです。
 初めての仕事でも、手順を考えれば、作業のヌケ・モレチェックができます。自分に不足している知識、技術もわかり、事前に学習するべきか、専門家に依頼するべきか判断ができます。作業時間も見積もれますから、どれくらいに仕事が仕上がるか分かり、人に聞かれたときにも仕事の期限を明確に答えられます。手順が明確なので、人に作業を依頼できます。

 「やるべきことの明確化:手順展開」は、ルーチン仕事であっても、毎回内容が変わる仕事で
 あっても、事前に行うことで、常に品質を維持し、かつ効率的に仕事ができるようになるので
 す。

 (次回に続く)

この記事の話し手:石川 和幸さん

この記事の話し手:石川 和幸さん早稲田大学政治経済学部政治学科卒、筑波大学大学院経営学修士。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)、日本総合研究所などを経て、サステナビリティ・コンサルティングを設立、代表を務める。IE士補、TOCコンサルタント(Jonah資格)。専門は、ビジネスモデル構想、SCM構築導入、ERPシステム導入、管理指標導入、プロジェクトマネジメントなど。URL: http://www.susco.jp/ 元のページを表示 ≫

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