自治体の積立金、16年度末は21.5兆円で過去最高に
2017年10月10日 11:24
総務省は29日、平成28年度都道府県普通会計決算(速報値)を発表した。この報告書は都道府県および市町村等の全国自治体の財政状況に関するものである。
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この報告書の参考資料「平成28年度普通会計決算の概要(速報)における積立金現在高の状況」によれば、都道府県や市区町村等が積み立てた基金の総額が2016年度末に21兆5461億円と過去最高になった。前年度と比べると5,231億円増額で、財政調整基金は41億円減、減債基金は974億円減、その他特定目的基金は 6,245 億円増となった。この増額分のうち4483億円が東京都と23区のもので、他の地方公共団体の積立金現在高は17兆2,234億円で前年度と比べて747億円増であり、ほぼ横ばいである。
都道府県と市町村等の内訳を見ると、都道府県が6兆9772億円、一部事務組合と広域連合を含む市町村等が14兆5690億円となっている。交付税を受け取っていない東京都と23区では将来の福祉充実に備える基金などへの積み立てが増えた。
基金とは、地方自治法で定められているもので、条例の定めるところにより、特定目的のために財産を維持し資金を積立て、あるいは資金を運用するために設けるものである。この基金は年度をまたいで特定の事業目的で資金を運用できるもので、社会保障などの事業にあてる特定目的基金や地方債の償還目的の減債基金などがある。
基金を目的別に見ると公共施設の整備や社会保障などの「特定目的基金」が11兆4781億円で最も多く、税収減などに備える「財政調整基金」が7兆5241億円、地方債など借入金の返済に充てる「減債基金」が2兆5440億円だった。
都道府県の収支をみると5713億円の黒字で、市町村のそれは1兆2958億円の黒字だった。「財政再生団体」である北海道夕張市をのぞけば、破綻懸念がある「財政健全化団体」は3年連続で存在しない。
一部には財政収支が黒字で積立金を年々増加させる余裕があるのであれば交付税を削減できるのではないかとの考えもある。しかし、一方で地方債の残高は140兆円を超えており、返済目的の積立ても必要だ。自治体側は、「(基金は)将来の税収減や災害などへの備えでもある」「経費節減に勤め積み立てられたものだ」とし、交付税の削減には反発している。(編集担当:久保田雄城)