東京・日本橋の首都高に地下化の計画 老朽化受けて 景観改善にも

2017年10月9日 18:22

 2020年の東京オリンピック開催を控え、各地では様々な再開発が実施されているが、そんな中検討されているのが東京都中央区の日本橋にある首都高速道路の地下移設である。現在想定されている地下移設の対象となるのは、竹橋ジャンクション~江戸橋ジャンクション間の一部であり、事業費用はおよそ数千億円といわれている。

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 もちろんここまでの大きな工事ともなれば工期もそれに伴い長くなるため、10年~20年もの長期工事であることが予想されている。

 ちなみに、この首都高速道路の地下移設という計画は東京オリンピックがあるから検討されているというわけではない。もちろん東京オリンピックはひとつのきっかけではあるが、地下移設そのものは以前より何度か提案され議論の場にのぼっている。

 たとえば2006年には具体的な案を盛り込んだ報告書が発表され、2012年には国交省が地下移設について提言しているほどだ。ここまで何度か議論の場に上がりながら計画が進展しなかったのは、やはり莫大なコストがかかるということと、それに見合うだけの付加価値が見いだせなかったことが大きな要因であるといえるだろう。

 それが今回、より具体的な動きとなった背景には首都高速道路そのものの老朽化に伴う更新計画と地元の協力が大きく関わっている。高速道路といえども定期的にメンテナンスが必要であり、恒久的に利用できるようなものでは決してない。当然ながら高速道路も老朽化していき、安全性の観点から更新していく部分も必要に迫られていくことになる。それならこの機会に地下移設工事をしても良いのではないか、ということだ。また、高速道路の地下移設は地元住民の希望でもある。地元民間団体からは景観保護の観点から首都高速道路の撤去と移設を求める請願書がおよそ10万人分の署名とともに参議院議長宛に提出されており、こうした地元の動きも地下移設を前向きに検討するための材料となっている。

 実際にはこの首都高速道路の地下移設についてはまだ計画段階であり、費用の捻出や工事計画など、まだまだ解決しなければならない問題は多い。しかし、こうした検討が注目を集めているのが、もしも地下移設が現実となれば数多くの文化財が存在する日本橋の空の景観が復活するという期待感からであろう。

 また、高速道路の存在が景観を損ねているという意見は何も日本橋の首都高速道路に限ったことではなく日本中どこでも大きな課題となっている。日本の景観は一種の財産であり、それが復活するとなればその経済効果についても大きな期待が寄せられている。こうしたことも踏まえ、今回の日本橋周辺の高速道路地下移設については今後の動きに注目していきたいところである。(編集担当:久保田雄城)

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