タバコの吸殻をカラスに集めさせる装置 オランダのデザイナーが考案

2017年10月9日 21:41

オランダ・アムステルダムのデザイナー2人が、街に捨てられたタバコの吸殻をカラスに集めさせるという装置「Crowbar」を考案し、実験を計画しているそうだ(公式サイトThe Next Webの記事)。 タバコの吸殻は最もポイ捨てされやすいものであり、オランダでは年に60億個以上の吸殻が街に捨てられているという。タバコのフィルターは多くがアセテート繊維で作られており、分解されるまでに何年もかかる。2人は吸殻を回収する方法を検討した結果、Crowbarのアイディアにたどり着いたそうだ。カラスを選んだのはアムステルダムでよく見かける動物の中で最も賢いためで、カラスにコインを集めさせるオープンソースハードウェア「Crow Box」にもインスピレーションを受けたという。 Crowbarの仕組みとしては、装置下部にある漏斗状の部分に吸殻を落とすと上のトレイに餌が出てくるというものだ。カラスにCrowbarの使い方を学習させる流れとしては、まずトレイに餌と吸殻を置いた状態で餌の場所を覚えさせる。次に装置が餌を出すことを覚えさせるため、カラスが来た時だけ餌が出るようにする。さらにトレイ上の吸殻を漏斗に落とした時だけ餌が出るようにして操作を覚えさせ、最後のステップでは周辺に散らかっている吸殻を拾い、漏斗に落とせば餌が出てくることを理解させる。 ただし、カラスに吸殻を集めさせる場合、カラスの健康被害も懸念される。この点をThe Next Webが指摘すると、開発者は大きな問題があれば別の方法を考えると語ったという。装置は未完成で、吸殻と他のゴミを識別するソフトウェアの開発も難航しているそうだ。カラスの学習が成功するかどうかもわからないが、実験のもう一つの目的は吸殻の問題に対する人々の意識を変え、ポイ捨てそのものを減らすことのようだ。 これについてカラス科の鳥類の専門家として有名なワシントン大学教授のJohn Marzluff氏はThe Next Webに対し、学習は成功するだろうとする一方で、カラスを奴隷のように使うことは正しくないと述べたそうだ。そのうえで、より倫理的な方法として機械で吸殻を拾う、フィルターを生分解可能にする、捨てた人が自分で拾うといった案を提示したとのことだ。

関連記事

最新記事