AI技術開発は絶え間なし!日立、世界最小クラスの遠距離ミリ波レーダー開発
2017年10月9日 20:17
日立オートモティブシステムズは、車両走行中に前方200mまで遠距離にある障害物を検知する、77GHz前方遠距離ミリ波レーダーを開発した。2015年に開発した試作品と比較して、50%以上の小型化を実現。それに加え、従来の試作品では対応できなかった上下方向の検知を可能とした。2020年の製品化を予定している。また、10月27日から開催される「東京モーターショー2017」にも出展する。
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■大幅な小型化で、車載性向上
遠距離ミリ波レーダーは、高速道など巡航速度が高く、検知距離が求められる状況で必須だという。2015年に試作開発された77GHzの周波数帯を用いた前方ロングレンジミリ波レーダーは、車両から前方200mかつ左右18度の検知性能を確保していた。
今回新たに開発した77GHz前方ロングレンジミリ波レーダーは、2015年のものと比較して、奥行き約30%、高さ約15%、横幅約25%低減することができ、体積比では50%以上の小型化を実現している。これにより車両への搭載性が格段に向上する。
例えば、これから発売されるトヨタ・レクサスLSには、短距離用の24GHz帯“準”ミリ波レーダーが4カ所搭載されているようだが、次のモデルチェンジには77GHz前方ロングレンジミリ波レーダーが搭載されるだろう。ただ、ミリ波レーダーではフォルクスワーゲンが先行していて、「ティグアン」にはコンチネンタル社製の「ARS410」を採用し、76GHz帯(76G~77GHz)のミリ波レーダーだけで歩行者検知をしているという。
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■検知範囲の拡大
もう1つ、今回の77GHz前方ロングレンジミリ波レーダーは、左右18度に上下方向4度の範囲を加えることが可能になり、検知性能をアップしている。陸橋や歩道橋など遠方の高さのある障害物から、路上の落下物まで検知できることが可能となり、安全性がさらに高まるだろう。
しかし、日本の類型別交通死亡事故のなかでも第3位となる「交差点」の事故では、前側方を監視できるセンサーが必須で、左右に1個ずつ、130度ほどの検知角のミリ波レーダーが必要といわれている。これからまだまだ、進化が激化するであろう自動運転技術の世界である。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)