地方銀行の新たな取組 地域密着で企業支援
2017年10月7日 11:19
日本経済を考えるうえで、地方というものは決して切り離せないものである。これが経済の中心を担う銀行ともなれば、特に大きな意味を持ってくる。地方銀行は、メガバンクといわれる大手の都市銀行に比べると預金額や顧客の数は限られるものの、地域密着型の経営からメガバンクではできない独自性の強さが特徴だ。それだけに、日本経済の活性化には地方銀行の取り組みというものが大きく影響してくることは言うまでもない。そんな地方銀行では、現在新たな方策に取り組んでいるところが増えているのだという。
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地方銀行のもつ強みといえば、やはり地域密着型の経営にある。たとえば同じ地域に存在する中小企業への融資や資金繰りの相談を行う他、個人向けの預貯金やローンなどを取り扱うといったことが主な業務内容だ。特に中小企業にとっては、同じ地域密着型の経営をしているということから敢えて地方銀行をメインバンクとして取引を行うところも少なくない。
しかし、地方銀行を取り巻く環境というものは決して楽観視できるものではない。地方そのものの人口の減少などで預金額や顧客もそれに伴い減っていくという現象が日本各地で起こっているのだ。もちろんこれは地方銀行だけの問題というわけではなく、地域経済全体を考えると決して好ましいことではない。地方に住む人が少なくなり、都市部への一極集中が進めばますます経済の発展を阻害することになりかねないからだ。
そんな中、地方銀行の新たな取組として注目されているのが企業への支援である。先ほども説明した通り、地方銀行の主な取引先といえば共に同じ地域で営業する中小企業だが、こうした中小企業の業務を資金以外の面でも支援するという取組だ。たとえば鹿児島県の南日本銀行では、企業の販路拡大についてのコンサルティングを行い、福岡銀行では中小企業の海外進出を支援する業務を行っている。この他にも中小企業の新商品開発に向けての融資を行ったり、新規開拓のサポートなどといった業務を地方銀行が行うようになっている。
こうした地方銀行の取組というのはこれまでにはなかった動きであるともいえる。
地域経済が活性化するためには、その地域で営業をする中小企業がまずは元気になるということが重要であることは議論を待たないが、その一環として地方銀行が業務支援を行うという取組はさらにその流れを加速することだろう。
当然ながら中小企業の業務が順調になれば、それを支援する地方銀行に対してのメリットも大きくなっていく。その意味では地域密着で経営を行う中小企業と共に地域経済の底上げを行う地方銀行のこうした取組は今後も注目したいところである。(編集担当:久保田雄城)