【編集長の視点】アスカネットは続落も新製法の量産型AIプレート展示で「第3の柱」への期待が根強く押し目買い妙味
2017年10月6日 09:09
アスカネット<2438>(東マ)は、前日5日に115円高の1847円と続落して引けた。同社株は、今年9月央から急ピッチに値幅を拡大させて4カ月ぶりに2000円台大台に乗せており、目先の利益を確定する売り物が出てスピード調整をした。ただこの株価急伸のキッカケとなった量産を前提とした新製法による空中結像製品の樹脂製エアリアルイメージングプレート(AI)を今年10月3日からきょう6日まで幕張メッセで開催されている家電とITの見本市「CEATEC JAPAN 2017」に出展・展示しデモンストレーションしており、「経営の第3の柱」に位置付けている最先端製品がいよいよ業績寄与段階に入るとの期待は根強く続いており、押し目は買いに分がありそうだ。今年9月6日に発表した今2018年4月期第1四半期(2017年5月~7月期、1Q)業績が、連続の増収増益で着地したことへも見直しムードが高まっている。
■成型樹脂の壁面に蒸着する新製法の工程はシンプルで大量生産に最適
同社のAIプレートは、自社特許技術により開発した空中にスクリーンなしに映像を結像するサイネージ(電子看板)市場などをターゲットにする最先端製品で、結像品質の高いガラス製プレートを内外の展示会に積極的に出展・展示してきた。これに加えて今回は、樹脂に特殊な形状の成型を施したうえ、壁面蒸着を行う新製法を開発した。同製法は、製法工程がシンプルで大量の生産に向いており、「CEATEC JAPAN 2017」には試作品を初回製品として出展・展示し、空中ディスプレイとしての優位性や新たな可能性をアピールする。
このAIプレートは、同社が、メモリアルデザインサービス(MDS)事業、パーソナルパブリッシングサービス(PPS)事業に次ぐ「経営の第3の柱」のAI事業として積極展開しているもので、今2018年4月期のAI事業の売り上げも、小ロット案件が中心となった前期の6000万円(前々期比3.4%増)から1億6000万円(前期比2.6倍)へ大きく伸びる見込みである。樹脂製プレートの開発で、この成長がさらに加速するとみられている。
一方、今期1Q業績は、前年同期比12.9%増収、4.7%営業増益、5.4%経常増益、7.1%純益増益と続伸した。MDS事業での遺影写真加工収入の堅調推移、AI焼香台の売り上げ計上、PPS事業での稼働率上昇や各種経費の適切なコントロールによる大幅増収などが寄与した。今2018年4月期業績は、AI事業の海外・国内展示会への出展費用や量産化技術の開発費用が増加することなどから、売り上げ56億9600万円(前期比4.7%増)、営業利益7億7100万円(同3.7%減)、経常利益7億7600万円(同3.6%減)、純利益5億4100万円(同5.5%減)と前期の過去最高からの小幅減益転換を見込んでいる。ただAIプレートが、いよいよ量産段階に入ってくることから、この動向次第では、業績上ぶれ余地も生まれてくる。
■ストップ高後のスピード調整に一巡感も示唆し年初来高値奪回に向け再発進
株価は、ロボットベンチャーへの資本参加に好業績評価が加わってつけた年初来高値2514円から、今期業績の減益転換予想で1771円安値まで調整し、AIプレートの国内外の展示会出展とともにいったん25日移動平均線水準までリバウンドしたが、米国ハイテク株安・東証マザーズ市場の下落に北朝鮮関連の地政学リスク懸念が重なって1414円安値まで再調整した。同安値からは、樹脂製AIプレートの「CEATEC JAPAN 2017」出展をテコにストップ高を交えて2130円高値まで5割高し、ストップ高で開けた窓を埋めるスピード調整中である。ストップ高から3週間を経過して目先調整のほぼ一巡も示唆しており、急騰特性再現思惑を強めて2000円大台へリバウンドして弾みをつけ、年初来高値奪回に再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)