AIは知能+運動神経へと進化か オムロンの卓球ロボットが水谷隼選手と対決
2017年10月4日 16:22
幕張メッセで開催中のCEATEC JAPAN 2017にて、オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス」と、リオデジャネイロ五輪の卓球での銅メダリスト・水谷隼選手がラリー対決を行った。
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CEATECH JAPAN 2017が、10月3日~6日に開催中だ。昨年、脱家電見本市を宣言し、CPS(Cyber Physical System)/IoT(Internet of Things)総合展へのシフトを断行。今年もその流れを汲み、IoT・ロボット・人工知能(AI)を活用した「未来の社会」を667社/団体が披露し、327社/団体が新規出展である。
CEATECH JAPAN 2017の初日、卓球ロボットと現役の卓球選手の対決が披露された。今までのAIと人間との対決は、チェスや将棋などのように「知能」中心であった。今回は「運動神経」でのAIとの対決であり、瞬時に周りの状況を判断し応答できるセンシング、リアルタイム制御、瞬時判断が求められる。
ちなみに、AIの知識でのプロへの挑戦は、AIの勝利が続いている。6月には、現役将棋棋士とAIが戦う電王戦が姫路城で開催。将棋界の頂点に立つ佐藤天彦名人がPONANZAに敗れている。
●卓球の銅メダリスト、水谷準選手
水谷準選手は日本男子を代表する卓球選手。北京オリンピック、ロンドンオリンピック、リオデジャネイロオリンピックの日本代表。リオでは、男子シングルスにおいて、準決勝で世界ランク1位の馬龍に敗れたものの、3位決定戦で勝利。男女を通じて、卓球のオリンピックシングルスで日本人初のメダル(銅メダル)を獲得した。
●対決者は卓球ロボット「フォルフェウス」
オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス」は、コア技術「センシング&コントロール+Think」の進化と「人と機械の融和」を紹介するために開発され、進化を続けている。
・2014年:人間とラリーができる
・2015年:フォルフェウスが返球位置を共有できる
・2016年:初級者・上級者のレベルを判断して、レベルに合わせた返球をする
・2017年:サーブ機能とスマッシュに対応できる
●ロボット(オムロン、卓球ロボット「フォルフェウス」)のテクノロジー
フォルフェウスは、卓球コーチロボットとしてギネス世界記録に認定されているという。
センシング対象は、ラリー相手、ラケット位置や裏表、球の軌道をセンシングし、その後の動きを予測する必要がある。これは物体検出技術と3次元計測技術が必要であろう。特に、玉の軌道計算や制御は、リアルタイム性が求められる。
スマッシュ対応は、時系列ディープラーニングというAIを活用するという。相手の手のひらの動きやひじの位置などを解析し、スマッシュを打つ気配を読み取って球筋を予測し、スマッシュを打ち返す。この機能は、対決で正常に動作した模様。
●ラリー対決結果
ラリーでの対決となった。フォルフェウスのラリーは、永遠に続くと思われる正確さであった。水谷選手のスマッシュのスピードに反応、返球したが、球はコートから外れた。プロのピンポン玉のスピードは、秒速30メートルである。2.7メートルのコートでの制球を0.1秒以内で処理する運動神経を持てば、卓球ロボットがコーチとして活躍する日も近いのであろうか。(記事:小池豊・記事一覧を見る)