保育士の93%が就職後にギャップ 離職率下げるには?

2017年10月1日 21:36

 厚生労働省の調査によると保育士の離職率は平成25年度で10.3%となっていて、待機児童が増加する一方で保育士の人材不足はかなり深刻に状態となっている。その原因を探るために保育士の人材紹介サービス『保育のお仕事』を提供しているウェルクスがサービスを活用している保育士の意識調査を実施した。

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 「保育士になる前に想像していた保育士像と、実際に就職してからのギャップはあったか?」といった問に対しては「ギャップがあった」と93.6%の人が回答した。「保育士に対してどんなイメージを持っていたか?」と質問したところ「子供と一生懸命遊び、成長を見守る仕事」という回答が74.1%、「子供の世話をするのが好きな優しい女性が多い仕事」という回答が72.9%となった。

 一方、「実際に保育士として就職して何にギャップを感じたか?」という問いに対しては「現場最優先な所、子供が最優先と思っていたのに様々な書類作成、大人の都合に追われて子供優先ではなかった」「子供への支援と同じくらい大人に対する支援が必要」といった回答が見られ、子供と向き合う仕事以外にも書類作成や保護者対応などが多い点にギャップを感じているようだ。「ギャップは何故生じたのか?」と尋ねた結果、「ギャップはある程度覚悟していたけど想像以上にギャップが大きかった」という回答が66.5%あり、ある程度子供と向き合う以外の仕事は想定していたが、それよりも遥かにその他の業務が多い点にギャップを抱いたようだ。保育士には子供と向き合う以外にも、さまざまな業務があると認識しておいた方が良いだろう。

 「ギャップを減らす為に何をしたらいいのか?」という質問では、「待遇をもっと良くするべき」という意見が64.0%、「就職先の保育士とディスカッションする時間を設ける必要がある」という意見が48.4%となった。他にも「ギャップがあっても相談できる相手がいるかどうか」や「改善する為に行動を移せて、それを聞き入れてくれる職場か」という、職場での人間関係や理解が離職の分かれ目となりそうだ。

 ギャップにより退職した人に「復職するにはどんな改善が必要か?」と質問したところ、「入社したばかりの保育士でも自分の意見が言える職場づくりが必要。ベテランの意見だけが通る職場という時代ではない」、「園長、主任の意識改革が必要」という意見が見られた。

 以上の結果を見ると、書類作成や保護者対応といった業務も含めて保育士の仕事内容を認知することと、職場の環境改善が離職率低減のカギとなりそうだ。(編集担当:久保田雄城)

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