ジル・サンダー、2018年春夏コレクション発表 完全さと不完全さの狭間

2017年9月27日 16:34

 ジル・サンダー(JIL SANDER)は、新クリエイティブディレクターにルーシー&ルーク・メイヤーを迎えて初となるランウェイショーをイタリア・ミラノで開催。ミラノ・ファッション・ウィーク4日目の2017年9月23日(土)に行われたこのショーは、これまでのショー会場とは異なる、青空の見える解放的な空間であった。

 彼らのクリエーションに影響を与えるものはシンプル、精神ただ一つであるという。ジル・サンダーの真髄である、感性、人間性、そして精神というキーワードを掲げ、完全と不完全の間の絶妙なバランスを追い求めることが今季の目的だ。

 デビューショーの幕開けは、白シャツがアイコンだ。ウィメンズは、白いシャツをドレスに仕立て、アシンメトリーなプリーツ、胸元のギャザー、ブラックレザーリボンのアクセントなどで遊ぶ。シャツ単体で登場させるときには、思い切り太くしたり、二枚の布をかませたり、ギャザーを寄せたり…アームで個性を出す。

 メンズの白シャツは、一見フェミニンにも感じるプリーツのアレンジ。右腕から左腕にかけて覆うように、首下まで細かなプリーツを配した。

 合わせるのはネイビーのコートまたはジャケット。制服のように登場するこれらの2ピースだが、やはりアウターもスタンダードとは一味違う。特にバックスタイルに表情を出すのが得意なようで、プリーツにしたり、中央でカットオフしたりする。

 ネイビー&ホワイトが規律正しく並んだ中で、掟を破るように登場するのはブランドコードであるブラックだ。艶のあるテキスタイルを黒色に染めてプリーツスカート、ドレスを作成。裾にはレースを。続くようにして、胸、足、腰、ランダムにフリルをあしらったドレスが現れる。

 時間の経過と共に崩れていく完全さ。メンズはオーガンザのシャーリングシャツ、フィッシュネットのニット。ウィメンズは自由気まままに動き廻るシースル素材を含んだ、異素材パッチワークドレスを展開する。さらには色の爆弾も投下。ブルーの幾何学的模様ドレスを紹介して、スタンダードカラーでまとめ上げたムードを崩壊する。

 かと思えば、途端に白一色の世界に。パンツスーツ、シャツ、ドレスの馴染みのアイテムをホワイトで統一して展開。ただし、序盤と異なるのは豊かなアレンジ。ピンストライプを前面にあしらったり、マクラメで部分的にデコレーションしたり、シルエットをビックサイズに変形させてみたり。しかし、今季のジル・サンダーが追い求めているのは完全と不完全の間だ。先に述べたホワイトワールドは一瞬で消え去り、キャメル、ブルー、グリーンが顔を出す。と思えば、テーラードと並んで、ポンチョ型のウィンドブレーカー、ゲージの荒いニットドレスまで。とことんごちゃ混ぜなのに、全て同じ精神に沿って仕立てられているため違和感がなく共存する。

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