小田急、「昇降バー式ホーム柵」の実証実験を愛甲石田駅で開始

2017年9月23日 06:45

 小田急電鉄は、高見沢サイバネティックスが開発を進めてきた「昇降バー式ホーム柵」の実証実験に協力し、9月24日から小田急小田原線の愛甲石田駅において試験運用を行う。

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 この実証実験は国土交通省鉄道局・鉄道技術開発費補助金の支援を受けて行われるもので、検証開始の9月24日始発から2018年3月までの期間、愛甲石田駅上りホームのうち小田原方から3両分に昇降バー式ホーム柵を設置、同柵の安全性、耐久性、視認性を確認しようとするもの。

 鉄道各社は近年増加傾向にあるホームからの転落事故を憂慮。電車に接触するなどした結果、人命を失うなどの痛ましい事故も絶えないことを受けて、ホームドアの設置を急ぐ機運が高まりつつある。しかし、設置などに高額な投資が強いられることから、二の足を踏む鉄道会社は少なくない。こうした状況を受けて、現在新幹線などに使用されているホームドアよりも廉価なホームドア、もしくはホーム柵の開発が急務となっていた。

 2012年から高見沢サイバネティクスが開発を進めてきた昇降バー式ホーム柵は、国交省による鉄道技術開発補助金の対象機であり、すでに相模鉄道いずみ野線・弥生台駅にて2013年10月27日の始発列車から試験運用を開始、1年間の実証実験を無事に終了し、問題点の洗い出しもできている。さらに2015年にはJR東日本・八高線拝島駅での設置が決定している。

 JR東日本での同柵導入の決め手は、その機能性とコストにあると言っても良いだろう。事実、開口部であるバーを上下に動かす構造により、戸袋部を必要とせず、設置レイアウトの自由度が拡がった。さらに機器の軽量化と設置にかかる費用の削減を実現している。

 ただし、弥生台駅での実証実験の結果では問題点が挙げられているのも事実。昇降バーに利用客が足を掛けたり、昇降バーに気付かず利用客が衝突するなどの視認性に問題があった。抽出された問題点は開発側に逐次フィードバックされ、改良を重ねてきた。

 今後、愛甲石田駅での実証実験を経て、採用に至るかは試験運用終了後の検討にかかっている。(記事:M_imai・記事一覧を見る

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