JR西日本、国内初の電柱ハンドリング車を導入 保守作業を省力化

2017年9月21日 06:20

 西日本旅客鉄道(JR西日本)は20日、9月定例社長会見の席上で、国内初となる電柱を直接つかむ技術を取り入れた電柱ハンドリング車(電柱建替車)について発表した。電気設備工事の子会社である西日本電気システム(大阪市)と、高所作業車及び建設用クレーンの大手メーカータダノ(高松市)が共同開発した。

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 電柱は、電車に電力を供給する電線を支持しており、一般的に50メートル間隔で設置される。

 従来、電柱の交換作業は、邪魔になる電線を移設し、クレーン車にて電柱を吊り上げて行っていた。電柱を設置後、べつに用意した高所作業車から作業員が吊り金具を取り外し、クレーン車退去後、再度電線を張りなおす必要があった。直接電柱をつかんで設置できる電柱ハンドリング車を導入することで、電線の張りなおし作業、高所作業車による吊り金具の取り外し、電柱の横揺れを抑える補助員の配置が不要となるとしている。

 車両には、車道を走るためのタイヤと、線路を走るための車輪の両方を搭載している。踏切から線路へ進入し、線路を自走して電柱建替現場まで移動できる。

 定例会見でJR西日本の来島達夫社長は、導入の背景について「労働力人口の減少が見込まれる中、人手のかからない仕組みを作っていくことは、非常に重要な課題」であると説明している。10月から作業員教育を開始し、京阪神地区の在来線の電柱交換に使用する。

 なお、JR西日本は、これまでにも線路保守の省力化・合理化をはかる目的でさまざまな取り組みを実施している。

 その中でも電柱建替えに関しては、2016年に山陽新幹線専用の保守用車の導入を発表している。東日本大震災後、地震対策として山陽新幹線では、従来のコンクリート製から鋼製の電柱への建替えを進めている。

 従来の方法では、高架下から電柱をクレーンで吊り上げて建替える必要があったが、高架下の作業環境にかかわらず、直接電柱を現地に保守用車で搬入し、車両に備え付けのクレーンで電柱の建替え作業を実施できる。

 今回の在来線の電柱ハンドリング車の導入により、新幹線だけでなく在来線においても、安全かつ効率的な電柱建替作業が実現することになる。(記事:松村美風・記事一覧を見る

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