大阪・なにわ筋線、大阪府と市が590億円ずつ負担へ 20年度着工に前進
2017年9月19日 20:24
大阪の梅田と難波を結ぶ鉄道新線「なにわ筋線」について、大阪府と大阪市が590億円ずつ負担することで最終調整していることが明らかとなった。産経新聞などが報じている。
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なにわ筋線は、大阪府、大阪市、JR西日本、南海電鉄、阪急電鉄が共同で計画している鉄道新線である。JR大阪駅北側に建設予定のJR北梅田駅(仮称)から、JR難波駅・南海新今宮駅までの7.4キロメートルを結ぶ。現在、2031年春の開業に向けて協議がすすめられている。
総事業費約3,300億円のうち、約1,200億円が地元自治体の負担となる。この取り扱いについて協議が重ねられていたが、1997年に開業したJR東西線を参考に、1:1で折半することとなった。
建設方式についても、JR東西線の例を踏襲し、第三セクター「関西高速鉄道」(大阪市)が建設・保有し、JR西日本や南海電鉄などが使用料を払う「上下分離方式」を採用する。今年度中に環境アセスメントの手続きに入り、その後、国土交通省への認可申請や市の都市計画決定を経て、2020年度の着工を目指すとしている。
なにわ筋線が開業すれば、大阪・梅田から関西空港への所要時間が現在の1時間から、40分程度に短縮される。また、なにわ筋線の計画にあわせて、阪急電鉄が、なにわ筋線から阪急十三駅までの連絡線及び伊丹空港新線の建設を計画している。両方が実現すれば、南北2つの空港が、梅田(キタ)・難波(ミナミ)の2つの繁華街を経由して、約1時間程度で結ばれることになる。
事業主体となることが決まった関西高速鉄道は、1988年に設立された第三セクターであり、JR東西線の線路などを保有し、JR西日本に貸し付けることを主たる事業としている。大阪府、大阪市、兵庫県、JR西日本などが株主。関西高速鉄道が保有するJR東西線は、JR尼崎駅からJR京橋駅までを結ぶ路線である。1981年に当時の国鉄が運輸省(現:国土交通省)から認可を受けたが、財政難から建設見送りとなっていたものを、国鉄分割民営化後、第三セクター方式により開業にこぎつけた経緯がある。
今回の決定により、なにわ筋線の開業に向けて一歩前進したことになる。(記事:松村美風・記事一覧を見る)