「プレミアムフライデー」は、なぜ月末金曜になってしまったのか

2017年9月15日 16:14

 経団連会長が、月末の金曜日に早めの退社を促す「プレミアムフライデー」の見直しを検討する考えを示したという報道がありました。
 忙しい月末では、本来の目的となる消費喚起などの取り組みが進めにくいとして、「実施日の変更を含めた運用を見直す」と述べており、「月初にしてほしい」という声が強いということです。

【こちらも】「プレミアムフライデー」、見直しで月初に?

 「プレミアムフライデー」については、「なぜ忙しい月末?」「月末に早く帰りづらいなんて考えれば誰でもわかる」などという声をよく聞きます。「月末が忙しいと、なぜ初めからわからなかった?」とは正直私もそう思います。

 この「なぜ?」というところに興味があっていろいろ調べてみましたが、正式な見解や理由のようなものを探しても、残念ながら見つけることができませんでした。
 ただ、ある記事に書かれていた分析によると、「月末に売上を上げたい」というサービス業界の思惑、発想があって、そこに昔からある「花金(花の金曜日)」という休前日の飲食や娯楽の発想が重なり、今の形になったのではないかということでした。

 「プレミアムフライデー」に対して、これは経済対策なのか、それとも働き方改革の一環なのか、二兎を追っているように見えて、効果がどちらも中途半端になっているという指摘がありますが、経団連会長は、「本来の目的となる消費喚起・・・」などと言ってしまっているので、たぶん経済対策というイメージなのでしょう。そうなると、「月末に売上を上げたい」という売り手側の都合が前面に出た結果として、今の月末金曜の形になったという分析は、あながち間違っていないように思います。

 もし仮に「プレミアムフライデー」を仕事する側の都合で考えれば、一番暇なとき、仕事を切り上げやすいときはいつなのかという発想になります。
 例えば、道路渋滞は月末や5、10日が多いですが、これは現金商売の集金日であったり、納品その他の締切日が多かったりするからと言われます。金曜日というのも、土日は倉庫が休みなので金曜出荷が多いとか、原料や部品を金曜日中に納品しないと月曜朝一番の操業に間に合わないから物流が増えるということもあるようです。

 そもそも月末というのは、納期や請求書、社内事務処理の締め、その他何かと締め切りが多い日です。
 仕事というのは日次、月次、年次の単位で、それぞれのサイクルで関連業務が回っています。そして、これは宿題でも試験勉強でも何でもそうですが、期限や締め切り間際が一番忙しくなるものです。一日単位であれば終業時間に近づくほど忙しく、その他は月末、年末(期末)が忙しくなります。
 こうやって考えていくと、月末の金曜というのは「プレミアム・・・」などといって早く帰ろうとするにはかなり最悪のタイミングです。多くの人はこの感覚で見ていることで、「なぜ選りによって月末の金曜?」ということになるのでしょう。合わせて働き方改革の一環という捉え方が強いということでしょう。

 ここで私が思うのは、自分の都合や思い込みによる一方的な視点で物事を判断すると、逆の立場から見たときに、これほど歪んでしまうことがあるということです。

 これから見直すと言っているので、良い方向に変わればよいと思いますが、この手の企画の一番の肝は、その「主旨は何か」ということと、まさに「それをいつやるか」ということです。
 あらためて、もう少し広い視点を持った検討がされることを望みます。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

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