日本酒の成分が皮膚のコラーゲンを増やすことを実証、金沢工業大の研究
2017年9月15日 07:26
金沢工業大学バイオ・化学部応用バイオ学科と、石川県白山市の酒造会社・車多酒造の共同研究グループが、日本酒に含まれる旨味成分「α-エチル-D-グルコシド(以下、α-EG)」が、ヒトの皮膚真皮層のコラーゲン量を増やすことを、世界で初めて学術的に実証した。
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コラーゲンといえばよく聞くのが、「コラーゲンの含まれた食品などを摂取して、美容に役立てよう」という話である。効果がゼロというわけではないという説もあるにはあるが、基本的に経口摂取したコラーゲンは消化されてしまうので、気休めでしかないと主張する向きが強い。しかし、こちらは本物の、科学的な実験によって効果を実証された話である。
α-EGは、一般的な日本酒に0.5%程度含まれている。日本酒を飲むことによっても、また膚に直接α-EGを作用させることによっても、効果があるという。
筆者は寡聞にして知らなかったが、「(日本酒をよく飲む)杜氏と蔵人と力士は肌にハリがある」ということが、日本酒の世界では古くから経験的に知られていたらしい。この伝承が、α-EGの効果に基づくものだったということが、今回明らかになったというわけだ。
具体的にどの程度飲むと効果があるかであるが、年配層の女性の場合であると、ぐい呑みに一杯程度(50ml)でも効き目が見えるという。
金沢工業大学と車多酒造は、現在、α-EGを通常よりも多く含んだ(1.7%含有)スキンケア専用の純米酒「shu re」と、純米酒配合ハンドクリーム「shu re 美容保湿クリーム」(α-EGを0.1%含有)を共同開発中であり、10月1日(日本酒の日)に全国で発売する予定となっている。
なお、研究の成果は、9月13日に第69回日本生物工学会(会場:早稲田大学西早稲田キャンパス)で発表された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)