史上初、ロボットがオーケストラの指揮を取る イタリアにて
2017年9月14日 11:42
イタリア・ピサのベルディ劇場において、腕を持つロボットがオーケストラの生演奏の指揮を取るという、世界でも初めての試みが行われた。
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2017年9月12日、第1回国際ロボット工学フェスティバル(International Festival of Robotics)のグランド・フィナーレを飾る企画として、スイスのロボット工学企業ABBの産業用ロボット「YuMi(ユーミィ)」が、ルッカ・フィルハーモニー交響楽団と共演した。
ユーミィは、人間との協働を前提として作られた、人間に近い大きさを持った、2本腕のロボットである。オーケストラの指揮をするために開発されたロボットというわけではなく、また、決められた指揮を演じることはできても、即興の動きをしたり、演奏家たちの動きに反応して指示を出したり、相互にやりとりをしたり、といったこともできない。
演奏にあたっては、ルッカ・フィルハーモニー交響楽団の指揮者アンドレア・コロンビニ氏が、ユーミィに手の動きを真似させるため、その訓練を行った。6分間の演奏のための訓練に17時間を要し、コロンビニ氏は「長い時間がかかった」と感想を述べている。
ABB社は1974年以来、業界の先端を行く産業用ロボットを世に送り出し続けており、ユーミィが世に出たのは2015年のことである。
ユーミィは軽量かつ強靭なマグネシウムの骨格を持つ。人間に安全性と居心地の良さを感じさせるデザインであるということで、以前には優れたデザインに与えられる賞であるドイツのレッドドット・デザイン賞を受賞したこともある。
演奏されたのは、イタリア人テノール歌手アンドレア・ボッチェリ氏によるヴェルディ作曲のオペラ「リゴレット」のアリアである「女心の歌」、そして同じくイタリア人のソプラノ歌手であるマリア・ルイジア・ボルシ氏による、プッチーニ作曲のオペラ「ジャンニ・スキッキ」の独唱であった。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)