Suica履歴から自動でデータ入力、交通費精算簡素化のシステム JR東らが開発

2017年9月11日 19:56

 日清食品HDとJR東日本は、SuicaとEXコーポレートカードの利用履歴データを活用した経費精算サービスを共同開発し、本格的な提供を開始した。今後、日清食品以外の企業にも導入をすすめ、経費精算作業の効率化・明確化により、働き方改革への貢献を目指す。

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 日清食品グループではこれまで、出張や外出にかかる経費精算の際、精算用の紙面に自分で記載して経費計上を行っていた。そのため、作業に忙殺されることが多く、経費精算業務の負荷低減を求める声が多く出ていた。この問題を解決すべく、はじめに着手したのはEXコーポレートカードの導入だ。これはJR東海とJR西日本が提供する会員制新幹線予約サービスで、これにより社員の経費立て替えが不要になった上、カードの利用実績データを活用し、清算のための入力作業が簡便に。さらに使用した経費の全データが自動配信されるので、タイムリーな経費処理が可能になった。

 これに加えてSuicaの利用履歴データを活用した経費精算サービスの共同開発をスタート。2012年にビジネスモデル特許を取得したこの仕組みは、Suicaのデータベースから交通費に関する「利用日時」「経路」「利用金額」のデータを抽出し、SuicaとEXコーポレートカードの両データを重複せずに処理するというもの。

 このシステムは日清食品グループの事業会社7社がすでに導入しており、対象となる約1,200名の経費精算の作業時間がこれまでの年間約2万時間から約7,900時間削減され、経理部門での確認作業時間も年間約1,080時間から約485時間が削減となった。また、EX-ICの利用による新幹線割引運賃の利用や経費立替による口座振込手数料の省力化、EXコーポレートカードの付帯サービスを活用した海外出張時の保険料の削減なども加え、日清食品グループ全体として年間4,100万円のコストダウンを実現したという。

 このシステムでは社員が使用した経費実績をデータとして直接入手できるため、経費使用の透明性や正確性が確保できる。経費の妥当性を調査するための監査データとしても活用が可能となることから、企業のコンプライアンス向上にも貢献度する。元々は日清食品グループ独自のシステムであったが、他企業への活用もカスタマイズで十分可能として、JR東日本では本格サービスに乗り出すこととし、すでに2017年5月からキューピーが同システムの導入を決めている。

 今後、JR東日本ではこのシステム導入によって社員のワークライフバランス向上に貢献する仕組み作りに取り組んでいく予定だ。(記事:M_imai・記事一覧を見る

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