メダカの見ている世界は、季節によって異なる色を持つ
2017年9月10日 06:44
基礎生物学研究所、名古屋大学、日本女子大学の共同研究グループは、メダカの色覚は季節によって変化する、という事実を明らかにした。
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メダカは春から夏にかけては活発に泳ぎ回り、冬は川底にじっとしていてほとんど動かない。この事実は経験的には良く知られているが、なぜこのような違いが季節により生じるのかについては分かっていなかった。
研究は飼育下において行われた。まず、温度と明暗変化によって人工的な「冬」の環境に置いたメダカの水槽と、同じく「夏」の環境においたメダカの水槽を作成。それぞれの水槽に光を照射したところ、夏のメダカは「負の走光性」を示して光を避けたのに対し、冬のメダカは反応しなかった。
つまり、冬のメダカは、光に対する感受性が低下していたわけである。
次に、メダカの体色の、メダカによる見え方への検討が行われた。メダカは、春から夏にかけての繁殖期に、鰭に黒点が現れ、体の橙色、赤色が濃くなる。これを婚姻色と言うのだが、季節ごとに光への応答性が異なるなら、この婚姻色の見え方も季節によって異なると考えられるわけである。
今度は、コンピュータグラフィックスを用いて、リアルな「ヴァーチャルメダカ」を作成した。これをディスプレイに映して反応を調べたところ、夏のメダカは強く反応したが、冬のメダカは反応を示さなかった。
これらの結果から、メダカは冬と夏において光感受性や色覚が異なり、季節によって異なる色彩世界を見ている、と考えられる。
研究グループはさらに、メダカの視細胞において働くオプシンという物質について調べた。結果、冬のメダカにおいては、オプシンに関わる遺伝子の発現が著しく低下していて、これが夏になると一斉に上昇することが分かったという。
今回の研究はメダカにおいて行われたが、同様の視機能の季節的変化は、たとえばトゲウオやスズメダイなど他の魚類においても存在する可能性が示唆されている。また、一説には人間の視機能にも同じ季節変異があるとも言われる。
なお、研究の詳細は、科学雑誌Nature Communicationsに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)